皮膚科の豆知識

皮膚科専門医のブログです。日々の小さな疑問を解決する論文を紹介します

はじめに

「皮膚科の豆知識」は皮膚科専門医が、日々感じた小さな疑問を解決する論文を紹介するブログです。 皮膚疾患は種類が多く大規模スタディーが行われていないため、明確なエビデンスがある検査や治療は少ないようです。 そのため皮膚科診療は経験に頼りがちに…

ジアノッティ症候群を診断する方法

ジアノッティ症候群は様々なウイルスが原因で起こります。 そのため確定診断ができる検査がなく、患者への説明が中途半端になりがちです。 また治療法がなく、治癒までに時間もかかることも問題です。 そこで海外から報告されている診断基準が役に立ちます。…

成人パルボウイルス感染症を診断する方法

成人のパルボウイルス感染症に出会うことは意外と多いです。 そのほとんどが「あるかないか分からないくらいの皮疹と手足の腫れ、倦怠感」という症状。 臨床症状がパッとしないため、診断が難しい疾患です。 リウマチ因子や抗核抗体が陽性化することも、診断…

白癬は視診で診断するべからず

皮膚真菌症は見た目だけで診断できるのでしょうか。 それを調べた報告があります。 Fam Pract. 16(6): 611, 1999 PMID: 10625138 視診による皮膚真菌症の診断 ・感度81%・特異度45%(陽性適中率:24%) 陽性的中率はわずか24%。視診で診断した症例の7割が真…

自覚症状がない足白癬に注意しよう

白癬はある程度まで菌が増殖しないと、痒みなどの自覚症状が出てきません。 そのため足白癬だと気がつかずに放置している患者が多く、クリニックや病院を受診するのは全患者の2割程度と推計されています。 (日本皮膚科学会雑誌125(12): 2289, 2015) 特に2…

足白癬の予防法

白癬菌はどこにいて、どうやって感染するかを聞かれることも多いと思います。 皮膚に付着した白癬菌は、一定の湿度(85%以上)があれば24時間かけて皮膚内に侵入し、感染が成立します。 水虫が足の指の間にできやすいのは、湿度が高いことが理由です。 それ…

足白癬の治療はいつまで続けるのか?

足白癬は再発することが多いです。 その理由は菌が陰性化する前に治療を止めてしまっているからです。 外用を開始して2週間程度で皮膚症状は改善しますが、菌はまだ残っています。 それでは足白癬にはどれくらいの治療期間が必要なのでしょうか。 菌の陰性化…

足白癬の外用抗真菌薬はどれを選ぶか?

足白癬に対して、外用抗真菌薬はどうやって使い分ければよいのでしょうか。 選択基準は①効果と②系統の2つです。 ①効果 臨床効果を比較した試験は少なく、薬剤間の優劣を示すことは難しいとされています。 しかし処方には何かしらのデータの裏付けが欲しいも…

足白癬の内服抗真菌薬はどれを選ぶか?

足白癬に対して保険適応がある内服抗真菌薬には、テルビナフィン(ラミシール)とイトラコナゾール(イトリゾール)の2種類があります。 テルビナフィン(ラミシール) イトラコナゾール(イトリゾール) どちらを選択すればよいのでしょうか。 まず両者の効…

小児の内服抗真菌薬の投与量

小児の皮膚真菌症に対して内服抗真菌薬が必要になることがあります。 それは頭部白癬の治療のときです。 ところが投与量は日本のガイドラインには記載がなく、論文を参考に決める必要があります。 ある論文(臨床皮膚科. 64(13): 1060, 2010)ではテルビナフ…

皮膚真菌症に内服抗真菌薬を使うシチュエーションは?

抗真菌薬内服が必要な白癬は爪白癬が代表的です。 真菌は爪の下にいますが、外用薬が爪を通過できないからです。 しかし内服薬は、その他の白癬にも適応があります。 ガイドラインから内服薬の適応をみてみましょう。 皮膚真菌症診療ガイドライン 2019 【内…

爪白癬の治療は内服か外用か?

これまで爪白癬には外用薬が効かないので、内服薬を使用する必要がありました。 ところが最近爪白癬に効果がある外用薬が発売され、内服薬を使用しないケースが増えています。 それでは外用薬の効果はいったいどれくらいなのでしょうか。 【内服薬の治癒率】…

【医師国家試験皮膚科領域⑦】臨床で役立つ解説-感染症の皮疹

前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 第1回で紅斑のみかたの原則を紹介しました。 (第1回はこちら>>医師国家試験皮膚科領域①) ・表面がザラザラ:表皮の病変 ・表面がツルツル:真皮の病変 …

【医師国家試験皮膚科領域⑥】臨床で役立つ解説-乾癬と日光角化症

前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 第1回で紅斑のみかたの原則を解説しました。 (第1回はこちら>>医師国家試験皮膚科領域①) ・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹) ・表面がツルツル:真…

【医師国家試験皮膚科領域⑤】臨床で役立つ解説-皮膚真菌症

前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 第1回で紅斑のみかたの原則を解説しました。 (第1回はこちら>>医師国家試験皮膚科領域①) ・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹) ・表面がツルツル:真…

【医師国家試験皮膚科領域④】臨床で役立つ解説-膠原病

前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 第1回で紅斑のみかたの原則を解説しました。 (第1回はこちら>>医師国家試験皮膚科領域①) ・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹) ・表面がツルツル:真…

【医師国家試験皮膚科領域③】臨床で役立つ解説-蕁麻疹とウイルス感染症

前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 第1回で紅斑のみかたの原則を解説しました。 (まだ見ていない方は第1回から御覧ください>>医師国家試験皮膚科領域①) ・表面がザラザラ:表皮の病変(湿…

【医師国家試験皮膚科領域②】臨床で役立つ解説-重症薬疹

前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 前回、紅斑のみかたの原則を解説しました。 ・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹) ・表面がツルツル:真皮の病変(薬疹) しかし原則には例外がありま…

【医師国家試験皮膚科領域①】臨床で役立つ解説-総論

今回は医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について解説したいと思います。 医師国家試験皮膚科領域の解説 国試の皮膚科の分野では症例写真が数多く出てきますが、写真から診断することは難しいのではないでしょうか。 過去問の写真を丸…

梅毒の検査が変わった

最近梅毒の検査法が変わっています(用手法→自動化法)。 それに伴っていくつかの変化があり、教科書の記載内容が古くなっています。 そのため知識をアップデートしておく必要があります。 まず治療効果判定が「RPR 1/4以下」から「RPR半分以下」に変更され…

疥癬はどれくらい見逃してしまうのか?

私たち皮膚科医を最も怯えさせる疾患が疥癬です。 一見して湿疹や痒疹と見分けがつきづらい。 よくよく手や陰部を観察すれば、疥癬トンネルや疥癬結節が見つかりますが、注意していないと見逃してしまいます。 疥癬は忘れた頃にやってくる。 常に頭の片隅に…

マダニに咬まれたらどうするか?

マダニ刺症の対応法は人によって微妙に異なっています。 そこで虫の大家・夏秋優先生の「マダニ刺症への対応提言」をまとめてみました。 Visual dermatology 17(11): 1064, 2018 皮膚に吸着したマダニは除去する必要があります。 それでは除去はいつすればよ…

スミスリン耐性シラミの治療法

最近ピレスロイド(スミスリン)耐性のシラミが増加しているそうです。 スミスリンシャンプーが効かないときどうすればいいのか、海外のガイドラインを調べてみました。 Paediatr Child Health. 23(1): e18, 2018 【カナダ小児科学会】①ジメチコンローション…

ASOはどんなときに使うのか?

溶連菌感染症を診断するための血液検査としてASOがあります。 ASOはどのような場面で使用するのでしょうか。 A群溶連菌が産生する活性蛋白streptolysin Oに対するIgG抗体がASO(anti-streptolysin O)です。 IgG抗体なので上昇するまでの時間がかかることに…

マイコプラズマ抗体検査はどう使う?

マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)感染症はスティーブンスジョンソン症候群の原因にもなるため、皮膚科でも重要な感染症です。 肺炎のイメージが強いですが、肺炎に至るのは3~10%で、ほとんどが感冒症状のみなのだそうです(Chest. 95(3) 639…

抗核抗体が陽性だけど症状がないとき

抗核抗体が陽性、しかし臨床症状は無いという状況に遭遇することがあります。 健常者での抗核抗体の陽性率はどれくらいなのでしょうか。 Arthritis Rheum. 40(9): 1601, 1997(PMID: 9324014) 【健常者の抗核抗体陽性率】 40倍:31.7% 80倍:13.3% 160倍…

成人スティル病でフェリチンはどれくらい有用なのか?

成人スティル病ではフェリチンが上昇することが知られていますが、どれくらい有用なのでしょうか。 フェリチンの感度・特異度について書かれた総論を紹介します。 日本内科学会雑誌 92(10): 1977, 2003 ・フェリチン高値 ⇒ 感度91.9%、特異度47.0% フェリチ…

IL-2Rは悪性リンパ腫の診断に有用なのか?

IL-2レセプター(IL-2R)は悪性リンパ腫の腫瘍マーカーとして使用されています。 しかし様々な疾患で上昇するため、どの程度有用な検査なのかは知られていないように思います。 皮膚悪性リンパ腫を疑ってスクリーニング検査を行ったときにIL-2Rが高値に出る…

TARCでアトピーの重症度がわかるか?

アトピー性皮膚炎の病勢を測る指標としてTARCがあります。 しかし測定値が100~30000 pg/mlと非常に幅があるため、目安が分かりにくいです。 数値の目安として、重症度ごとの平均値を調べた報告が参考になります。 J Dermatol 33(4): 300, 2006(PMID: 16674…

抗BP180抗体の陽性率はどれくらい?

高齢者に多い水疱性類天疱瘡(類天疱瘡)は、高齢化に伴い増加しています。 高齢者施設では、入所者の1%に類天疱瘡がみられるという報告もあります(MB derma: 161 p39-45, 2010.)。 診断基準では皮膚生検が必要なのですが、皮膚科受診が難しい場合もあり、…