「皮膚科の豆知識ブログ」は日々の小さな疑問を解決する論文を紹介するブログです。 皮膚疾患は数が多く、大規模スタディがほとんど行われていません。そのため診療は経験に基づいて行われエビデンスは軽視されがちです。 そこで、このブログでは皮膚科診療…
粉瘤の診断は一般的に視診と触診から行われます。 しかし典型例では診断は容易ですが、ヘソが目立たない場合は、正直なところ診断に確信が持てないケーズも少なくはありません。 粉瘤はどれくらい正確に診断できるのでしょうか。 論文を見てみましょう。 日…
粉瘤は炎症を起こすことがあります。 炎症を起こす頻度は表皮嚢腫で50%、外毛根鞘嚢腫で15%と報告されています。 Clinically, trichilemmal cysts become inflamed infrequently 14.8%, in this series compared with 50% of epidermoid cysts. Br J Dermato…
粉瘤の術後再発症例に出会うことがあります。 手術中に嚢腫壁を取り残すと再発することが多い印象がありますが、再発率はどのくらいなのでしょうか。 論文を見てみましょう。 Dermatol Surg. 28(8): 673, 2002 PMID: 12174056 くり抜き法で切除を行った粉瘤8…
内臓や血液の真菌感染症(深在性真菌症)はカンジダやアスペルギルスが多いと言われています。 それでは皮膚真菌症の原因菌は何が多いのでしょうか。 論文を見てみましょう。 Med Mycol J. 60(3): 75, 2019 PMID: 31474694 皮膚科を受診した皮膚真菌症患者67…
従来、アトピー性皮膚炎は小児の疾患と考えられていました。 1970年代のデータを見ると、成人の割合は10%程度です。 【アトピー患者の年齢(1976年)】 ・9歳以下:68%・10~19歳:19%・20~29歳:7%・30歳以上:6% Asia Pac Allergy. 1(2): 64, 2011 しかし…
「子どものアトピーは自然に治る」と言われますが、これは本当なのでしょうか。 論文を見てみましょう。 Br J Dermatol. 170(1): 130, 2014 PMID: 23980909 台湾で行われた、生後2歳までに発症したアトピー性皮膚炎の小児1404人の調査です。 10歳まで皮膚炎…
ステロイドはどのくらいの量を1日何回塗ればよいのでしょうか。 添付文書には「1日1~数回適量を塗布」と記載されていることが多く不明瞭です。 今回はステロイドの外用回数について考えてみます。 1日に何回も外用するのはかなり面倒です。 実際、1日2回の…
ステロイド外用薬はどのくらいの量を1日何回塗ればよいのでしょうか。 添付文書には「1日1~数回適量を塗布」と記載されていることが多く不明瞭です。 前回の記事では外用回数について解説しました。 www.derma-derma.net 今回はステロイドの外用量について…
ステロイド外用の代表的な副作用は、塗った部位の「皮膚萎縮」と「皮膚バリア機能低下」です。 それではこれらの副作用はどれくらいの期間で出現するのでしょうか。 皮膚萎縮 まず皮膚萎縮についての論文を見てみましょう。 Skin Pharmacol Appl Skin Physio…
ステロイドには様々な全身性副作用があります。 しかし外用で体内に吸収されるステロイド量は少なく、問題になることは多くはありません。 それでは全身性副作用に注意する必要がある使用量はどれくらいなのでしょうか。 論文を見てみましょう。 Therapeutic…
自己免疫疾患に内服ステロイドを使用する際、症状が改善した後も急に中止せず漸減するのが一般的です。 そして減量の際、副作用を軽減するために間歇投与(2日に1回など)が行われます。 外用薬を使用する場合にも漸減は必要なのでしょうか。 そして間歇投与…
ステロイド外用薬と保湿剤を併用することで、症状をより改善することができる可能性があります。 www.derma-derma.net そこでステロイド外用薬と保湿剤を混合することがあります。 しかし混合して薄まった場合も効果は維持されるのでしょうか。 今回は抗炎症…
ステロイド外用薬と保湿剤を併用することで、症状をより改善することができる可能性があります。 www.derma-derma.net そこでステロイド外用薬と保湿剤の混合が行われます。 しかし混合して薄まっても効果は維持されるのでしょうか。 今回は保湿効果について…
前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 今回は第4章の内容になります。 【問題】 以下の表面がツルツルで周囲との境界が不明瞭な紅斑をみたとき、注目すべきポイントは何でしょう。 …
前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 今回は第4章の内容になります。 【問題】 以下の紅斑をみたとき、注目すべき2つのポイントは何でしょう。 (110-I79) 国試問題文(抜粋) 45…
前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 今回は第3章の内容になります。 【問題】 以下の24時間以上持続する紅斑をみたとき、まず確認するのは何でしょう。 (108-A51) 国試問題文(…
前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 今回は第3章の内容になります。 【問題】 以下の24時間以上持続する紅斑をみたとき、まず確認するのは何でしょう。 (102A-33) 国試問題文(…
前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 今回は第3章の内容になります。 【問題】 以下の紅斑をみたときに、まず確認するのはなんでしょう。 (112C-25) 国試問題文(抜粋) 32歳の女…
皮膚科の治療では保湿剤が重要な役割を果たします。 それでは保湿剤には具体的にはどのような効果があるのでしょうか。 再燃予防効果 保湿剤は皮膚炎そのものに対する直接的な効果は期待できませんが、ドライスキンを改善することができます。 そのためドラ…
保湿剤は1日何回塗ればいいのでしょうか。 添付文書を見ても、使用回数は1日1~数回と記載されていてよくわかりません。 論文を見てみましょう。 日本皮膚科学会雑誌 122(1): 39, 2012 NAID: 130004708841 健常成人5人の前腕に人工的に乾燥皮膚を作り、1か所…
保険で処方できる保湿剤は3種類あります。 ワセリン(プロペト) ヘパリン類似物質(ヒルドイド) 尿素(ウレパール、パスタロンなど) これらはどのように使い分ければよいのでしょうか。 論文を見てみましょう。 日皮会誌 121(7): 1421, 2011 NAID: 100311…
保湿剤であるヒルドイドには様々な剤型があります。 これらはどのように使い分ければよいのでしょうか。 ローションとクリーム(ソフト軟膏)を比較した論文を紹介します。 日本皮膚科学会雑誌 122(1): 39, 2012 NAID: 130004708841 健常成人5人の前腕に人工…
尿素製剤には2つの濃度があります。 ・ウレパール→10%・ケラチナミン→20%・パスタロン→10%と20% これらはどのように使い分ければよいのでしょうか。 論文を見てみましょう。 Dermatol Ther. 31(6): e12690, 2018 PMID: 30378232 尿素は角質細胞中の天然保…
保湿剤とステロイド外用薬を併用する状況は多いです。 そんなときに気になるのが「どちらを先に塗ればいいのか」。 先に保湿剤を塗ってしまうと、後で塗るステロイドの吸収率が低下するような気もします。 しかし保湿剤を後で塗ると、最初に塗ったステロイド…
私の著書の第4刷が発行されました。 多くの方にご購入いただき大変うれしいです。 www.derma-derma.net ですが「誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた」を読んで物足りないと思った方や、もっと詳しく皮膚科診断を勉強したいと思った方もいるかもし…
この度、私の著書「誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた」の第4刷が発行されました。 購入してくださった皆様ありがとうございました。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 第○刷というのは増刷された回数を表しています。 最初に印刷した本が売…
潰瘍治療薬は剤型によって3つに分類するとわかりやすくなります。 油脂性基剤(水を保つ) 水溶性基剤(水を減らす) 乳剤性基剤(水を増やす) 創部の水分の状態に応じて薬剤を使い分けるのが創傷治療の原則です。 剤型別に外用薬の使いわけを解説したいと…
潰瘍治療薬は剤型によって3つに分類するとわかりやすくなります。 油脂性基剤(水を保つ) 水溶性基剤(水を減らす) 乳剤性基剤(水を増やす) 創部の水分の状態に応じて薬剤を使い分けるのが創傷治療の原則です。 剤型別に外用薬の違いと使いわけを解説し…
潰瘍治療薬は剤型によって3つに分類するとわかりやすくなります。 油脂性基剤(水を保つ) 水溶性基剤(水を減らす) 乳剤性基剤(水を増やす) 創部の水分の状態に応じて薬剤を使い分けるのが創傷治療の原則です。 剤型別に外用薬の使いわけを解説したいと…