皮膚科の豆知識

皮膚科専門医が日々の小さな疑問を解決する論文を紹介します

はじめに

「皮膚科の豆知識」は皮膚科専門医が、日々感じた小さな疑問を解決する論文を紹介するブログです。 皮膚疾患は種類が多く大規模スタディーが行われていないため、明確なエビデンスがある検査や治療は少ないようです。 そのため皮膚科診療は経験に頼りがちに…

【医師国家試験皮膚科領域④】臨床で役立つ解説-膠原病

前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 第1回で紅斑のみかたの原則を解説しました。 (第1回はこちら>>医師国家試験皮膚科領域①) ・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹) ・表面がツルツル:真…

【医師国家試験皮膚科領域③】臨床で役立つ解説-蕁麻疹とウイルス感染症

前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 第1回で紅斑のみかたの原則を解説しました。 (まだ見ていない方は第1回から御覧ください>>医師国家試験皮膚科領域①) ・表面がザラザラ:表皮の病変(湿…

【医師国家試験皮膚科領域②】臨床で役立つ解説-重症薬疹

前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。 前回、紅斑のみかたの原則を解説しました。 ・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹) ・表面がツルツル:真皮の病変(薬疹) しかし原則には例外がありま…

【医師国家試験皮膚科領域①】臨床で役立つ解説-総論

今回は医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について解説したいと思います。 医師国家試験皮膚科領域の解説 国試の皮膚科の分野では症例写真が数多く出てきますが、写真から診断することは難しいのではないでしょうか。 過去問の写真を丸…

梅毒の検査が変わった

最近梅毒の検査法が変わっています(用手法→自動化法)。 それに伴っていくつかの変化があり、教科書の記載内容が古くなっています。 そのため知識をアップデートしておく必要があります。 まず治療効果判定が「RPR 1/4以下」から「RPR半分以下」に変更され…

疥癬はどれくらい見逃してしまうのか?

私たち皮膚科医を最も怯えさせる疾患が疥癬です。 一見して湿疹や痒疹と見分けがつきづらい。 よくよく手や陰部を観察すれば、疥癬トンネルや疥癬結節が見つかりますが、注意していないと見逃してしまいます。 疥癬は忘れた頃にやってくる。 常に頭の片隅に…

マダニに咬まれたらどうするか?

マダニ刺症の対応法は人によって微妙に異なっています。 そこで虫の大家・夏秋優先生の「マダニ刺症への対応提言」をまとめてみました。 Visual dermatology 17(11): 1064, 2018 皮膚に吸着したマダニは除去する必要があります。 それでは除去はいつすればよ…

スミスリン耐性シラミの治療法

最近ピレスロイド(スミスリン)耐性のシラミが増加しているそうです。 スミスリンシャンプーが効かないときどうすればいいのか、海外のガイドラインを調べてみました。 Paediatr Child Health. 23(1): e18, 2018 【カナダ小児科学会】①ジメチコンローション…

薬疹はどれくらいの頻度で起こるのか?

薬疹はどれくらいの頻度で起こるのでしょうか。 正確な数値はわかりませんが、ある程度の目安は示されています。 Semin Immunopathol. 38(1): 75, 2016(PMID: 26553194) ・薬疹の発生率:0.1~1% 発生率は新規処方100~1000例につき1例と、決して低い数値…

薬疹の原因薬剤は何が多いか?

薬疹の原因はどのようなものが多いのでしょうか。 原因薬剤の統計をとった報告があります。 日皮アレルギー会誌 7(3): 115, 1999 【薬疹の原因薬剤】 1. 抗菌薬:41.9%2. 消炎鎮痛薬:13.0%3. 循環器用薬:11.7%4. 抗てんかん薬:10.1% この論文によると抗菌…

薬疹の病型は何が多い?

薬疹には色々なパターンがあります。 それではどのような病型が多いのでしょうか。 薬疹の病型を調べた報告を紹介します。 日皮会誌 122(10): 2495, 2012 【薬疹の病型の頻度】 ・紅斑丘疹型:41%・多形紅斑型:13%・湿疹型:8%・蕁麻疹型:8%・重症薬疹:7%…

薬疹の治療法

重症薬疹の治療法は教科書に書かれていますし、ガイドラインも存在します。 しかしそれ以外の薬疹をどうすればよいのかは、あまり書かれていない気がします。 そこで薬疹の総説から、治療法の部分を抜粋してみます。 N Engl J Med 366: 2492, 2012 【薬疹の…

ASOはどんなときに使うのか?

溶連菌感染症を診断するための血液検査としてASOがあります。 ASOはどのような場面で使用するのでしょうか。 A群溶連菌が産生する活性蛋白streptolysin Oに対するIgG抗体がASO(anti-streptolysin O)です。 IgG抗体なので上昇するまでの時間がかかることに…

マイコプラズマ抗体検査はどう使う?

マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)感染症はスティーブンスジョンソン症候群の原因にもなるため、皮膚科でも重要な感染症です。 肺炎のイメージが強いですが、肺炎に至るのは3~10%で、ほとんどが感冒症状のみなのだそうです(Chest. 95(3) 639…

抗核抗体が陽性だけど症状がないとき

抗核抗体が陽性、しかし臨床症状は無いという状況に遭遇することがあります。 健常者での抗核抗体の陽性率はどれくらいなのでしょうか。 Arthritis Rheum. 40(9): 1601, 1997(PMID: 9324014) 【健常者の抗核抗体陽性率】 40倍:31.7% 80倍:13.3% 160倍…

成人スティル病でフェリチンはどれくらい有用なのか?

成人スティル病ではフェリチンが上昇することが知られていますが、どれくらい有用なのでしょうか。 フェリチンの感度・特異度について書かれた総論を紹介します。 日本内科学会雑誌 92(10): 1977, 2003 ・フェリチン高値 ⇒ 感度91.9%、特異度47.0% フェリチ…

IL-2Rは悪性リンパ腫の診断に有用なのか?

IL-2レセプター(IL-2R)は悪性リンパ腫の腫瘍マーカーとして使用されています。 しかし様々な疾患で上昇するため、どの程度有用な検査なのかは知られていないように思います。 皮膚悪性リンパ腫を疑ってスクリーニング検査を行ったときにIL-2Rが高値に出る…

TARCでアトピーの重症度がわかるか?

アトピー性皮膚炎の病勢を測る指標としてTARCがあります。 しかし測定値が100~30000 pg/mlと非常に幅があるため、目安が分かりにくいです。 数値の目安として、重症度ごとの平均値を調べた報告が参考になります。 J Dermatol 33(4): 300, 2006(PMID: 16674…

抗BP180抗体の陽性率はどれくらい?

高齢者に多い水疱性類天疱瘡(類天疱瘡)は、高齢化に伴い増加しています。 高齢者施設では、入所者の1%に類天疱瘡がみられるという報告もあります(MB derma: 161 p39-45, 2010.)。 診断基準では皮膚生検が必要なのですが、皮膚科受診が難しい場合もあり、…

ペニシリンアレルギーにセフェムは投与できるのか?

ペニシリンアレルギーを持つ患者がいます。 その患者にセフェム系の抗菌薬を投与することは可能なのでしょうか。 これを調べた報告があります。 J Allergy Clin Immunol Pract. 6(5): 1662, 2018(PMID: 29408440) ペニシリンアレルギーと診断されている272…

アレルギー検査を行う時期はいつがいい?

アレルギーの原因を調べるために検査が行われることがあります。 ・即時型→プリックテスト、皮内テスト・遅延型→DLST、パッチテスト それではこれらの検査はいつ頃行うのがよいのでしょうか。 まず即時型アレルギーについて。 検査時期について書かれた総説…

アレルギー検査(遅延型)の陽性率はどれくらい?

遅延型アレルギーの原因を特定するための検査として「DLST」と「パッチテスト」があります。 それではこれらの陽性率はどれくらいなのでしょうか。総説から引用してみます。 治療 89(12): 3281, 2007 【薬疹検査の陽性率】 ・DLST陽性率:40-60%・パッチテス…

アレルギー検査(即時型)の陽性率はどれくらい?

即時型アレルギーの検査として皮膚テスト(プリックテスト、皮内テスト)が行われます。 しかしアレルギーを強く疑いながらも検査が陰性になる場合もあり、判断に迷うケースが多いです。 それでは皮膚テストの陽性率はどれくらいなのでしょうか。 具体的な数…

造影剤アレルギーはアナフィラキシーだけではない

アレルギーには即時型と遅延型の2種類があることは、誰もが知っていると思います。 ところが造影剤アレルギーの相談を受けてみると、即時型と遅延型が区別されていないことが多いと感じます。 「造影剤アレルギー=アナフィラキシー」と考えているが人が多い…

本当の局麻アレルギーは少ない?

局所麻酔薬に対するアレルギーの既往がある患者は多いですが、はたしてそれは本当にアレルギーなのでしょうか。 局麻アレルギーの既往がある患者に皮膚テストを行った研究があります。 アレルギー 58(6): 657, 2009 20人の患者に対してプリックテストと皮内…

魚摂取後のアレルギーは魚アレルギーなのか?

魚を食べた後に蕁麻疹が出現する患者さんがいます。 これは魚アレルギーと思われがちですが、原因は他にも2つ考える必要があります。 魚を食べた後の蕁麻疹の原因 1. 魚アレルギー2. アニサキスアレルギー3. アレルギー様の食中毒(ヒスタミン) 魚摂取後の…

ハチに刺されたら何%くらいアレルギーが出る?

ハチに刺された場合2回目が危険と言われますが、実際にアレルギーを起こす可能性はどれくらいあるのでしょうか。 ハチ刺症の総論から引用してみます。 アレルギー 67(2): 89, 2018 まず初めて刺された後、IgEが陽性化するのが20~30%です。 ハチ刺傷↓ハチIgE…

傷の治癒を促進する方法

傷の洗浄は一般的に行われていますが、周囲の皮膚に関してはあまり意識されていないことが多いように思います。 今回は傷の周囲の皮膚に関する論文を紹介します。 J Wound Care. 14(4): 169, 2005 褥瘡に対して周囲の皮膚を生食のみで洗浄した群と、石鹸を使…

外傷に抗菌薬は必要か?

以前、手術後の予防的抗菌薬の効果は証明されていないという論文を紹介しました。 それでは外傷の場合はどうでしょうか。 汚染のない外傷で抗菌薬の効果を調べたメタアナリシスを紹介します。 Am J Emerg Med 13(4): 396, 1995 【創部感染発症率】 ・予防抗…