皮膚科の豆知識ブログ

皮膚科専門医のブログです。日々の小さな疑問を解決する論文を紹介します。

はじめに---このブログについて

このブログについて 「皮膚科の豆知識ブログ」は皮膚科専門医が、日々の小さな疑問を解決する論文を紹介するブログです。 皮膚科診療は経験に頼りがちです。その理由は皮膚疾患の種類が多く、ほとんどの疾患で大規模スタディーが行われていないからです。 そ…

脂漏性皮膚炎の予防法

脂漏性皮膚炎は皮脂の過分泌が原因とされています。 皮膚の常在菌(マラセチア)によって皮脂が刺激性の脂肪酸などに分解され、皮膚の炎症を引き起こします。 そのため脂漏性皮膚炎の予防には、抗真菌薬によるマラセチアのコントロールが有効です。 具体的な…

蕁麻疹の原因はなに?

蕁麻疹の診療で最も多く遭遇するのが「原因は何ですか?」という質問です。 世間一般では蕁麻疹はすべてアレルギーによって起こると思われています。 そのためアレルギー検査を希望されることも多いです。 それではアレルギーによる蕁麻疹の割合はどれくらい…

蕁麻疹が治るまでどれくらいかかる?

急性蕁麻疹はどれくらいの期間で治癒するのでしょうか。 それを調べた論文があります。 J Dermatol. 21(2): 73, 1994 PMID: 8182214 (こちらの文献に詳しい数値の記載あり:臨床医薬 17(5): 727, 2001) 急性蕁麻疹患者50人に抗ヒスタミン薬を投与し、治癒…

蕁麻疹に抗ヒスタミン薬はどれくらい効く?

蕁麻疹治療の第一選択は抗ヒスタミン薬です。 それではどれくらいの効果があるのでしょうか。 論文を見てみましょう。 臨床皮膚科. 57(5): 40, 2003 NAID: 10012879599 蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬の臨床試験の結果がまとめられています。 【症状が中等度…

睡眠薬代わりに第一世代抗ヒスタミン薬を出す?

第1世代抗ヒスタミン薬には鎮静作用があり、鎮静性抗ヒスタミン薬と呼ばれています。 Allergy. 65(4): 459, 2010 PMID: 20146728 眠気の発生率 ・ポララミン:40%・アタラックス:80% そのため基本的には第2世代抗ヒスタミン薬が使用されます。 ところが内…

蕁麻疹が治りませんと言われたら

「蕁麻疹が治らない」といって転院してくる患者は、2つのパターンに分けられます。 難治性の蕁麻疹 内服が不十分 もちろん難治性の蕁麻疹の可能性はありますが、内服が不十分な場合もあることに注意が必要です。 皮疹が出現したときだけ間欠的に内服している…

蕁麻疹にステロイドは効くのか?

蕁麻疹の治療の基本は抗ヒスタミン薬です。 ほとんどの症例は抗ヒスタミン薬でコントロールすることができます。 ところが一部、薬の効果が乏しい患者も存在します。 そんなときステロイドの全身投与が行われることがありますが、その効果はどれくらいあるの…

本のプロモーション方法にはどんなものがある?

前回のつづき www.derma-derma.net 本は内容が良ければ売れるというわけではありません。 それでは著書のプロモーションはどうやって行えばよいのでしょうか。 ホリエモンこと堀江貴文さんが「本を売るためのノウハウ」を書いた本があります。 今回はこの本…

著書が重版されるにはどうしたらいいのか?

前回のつづき www.derma-derma.net 最初に印刷した本が売り切れて、追加で印刷することを重版(増刷)と言います。 ヒット作への第一歩は重版になることです。 しかし重版率は10~20%と言われており、ほとんどの書籍が重版されずに販売終了してしまいます。 …

医学書は何部売れればヒット作?

この度、医学書院から本を出版をさせていただきました。 私の中のコンテンツを出し尽くしたつもりですが、単著の執筆は初めてなので粗削りで未熟な点が多々あります。 (現時点でも、価格と内容が釣り合っていない、5章がクソ、などの温かくも厳しいご意見を…

蜂窩織炎と丹毒の鑑別は必要なのか?

深在性の皮膚細菌感染症は、病変の深さによって蜂窩織炎と丹毒に分類されています。 真皮浅層:丹毒 真皮深層~皮下組織:蜂窩織炎 皮膚の深い部位に炎症がある蜂窩織炎では紅斑の境界が不明瞭ですが、浅い部位の丹毒では境界がはっきりしている点が鑑別点と…

血液検査や培養検査で蜂窩織炎を診断できる?

蜂窩織炎の診断は基本的に臨床症状から行われます。 それでは検査はどれくらい有用なのでしょうか。 血液検査 まず血液検査について見てみましょう。 白血球、CRPは感染症の指標として広く使用されていて、初診時のスクリーニングとしてルーチンで行われてい…

蜂窩織炎を誤診しないための方法

前回の記事で蜂窩織炎の診断を確定できる検査はないことを解説しました。 www.derma-derma.net そのため非特異的な臨床所見のみから診断するしかありません。 それでは蜂窩織炎の診断はどれくらい難しいのでしょうか。 論文を見てみましょう。 Dermatol Onli…

蜂窩織炎に膿瘍を合併する頻度はどれくらい?

蜂窩織炎はまれに膿瘍を合併することがあります。 その場合は切開排膿が必要になるため、膿瘍の有無を確認しておくことは重要です。 それでは膿瘍を合併する頻度はどれくらいなのでしょうか。 論文を見てみましょう。 Arch Intern Med. 164(15): 1669, 2004 …

蜂窩織炎の再発率はどれくらい?

蜂窩織炎は再発することが多いと感じます。 実際、再発率はどれくらいなのでしょうか。 蜂窩織炎の総論を見てみましょう。 JAMA. 316(3): 325, 2016 PMID: 27434444 蜂窩織炎の再発率 ・1年以内:14%・3年以内:45% このように半数近くが3年以内に再発するよ…

蜂窩織炎の治療は内服薬と注射薬どちらを選ぶ?

蜂窩織炎は抗菌薬で治療を行います。 それでは内服薬と注射薬のどちらを使用したらよいのでしょうか。 論文を見てみましょう。 J Antimicrob Chemother. 70(2): 581, 2015 PMID: 25336165 合併症のない蜂窩織炎患者に対して、24人に対して内服薬(セファレキ…

蜂窩織炎に使う内服抗菌薬はどれがいい?

蜂窩織炎にはどのような抗菌薬を使用したらいいのでしょうか。 感染症の治療では、培養検査を行い原因菌に感受性のある抗菌薬を使用するのが一般的です。 ところが蜂窩織炎では培養で菌を分離できず、起炎菌がわからないことが多いことが問題です。 そのため…

第1世代セファロスポリンを使わない蜂窩織炎

前回の記事では、蜂窩織炎に対しては第1世代のセファロスポリン系抗菌薬を使用すると解説しました。 www.derma-derma.net それでは、それ以外の抗菌薬を選択するのはどんな状況なのでしょうか。 海外のガイドラインを見てみてみましょう。 動物・ヒト咬傷 動…

蜂窩織炎の抗菌薬は添付文書通りでいいですか?

添付文書に記載されている抗菌薬の用量は、海外と比較して少なく設定されています。 そのため蜂窩織炎に対して抗菌薬の効果が乏しい場合、投与量が少ないことが原因の可能性もあります。 米国感染症学会(IDSA)のガイドラインの推奨量と添付文書の常用量を…

蜂窩織炎の治療効果判定の時期は?

蜂窩織炎に対して抗菌薬を開始した後、効果判定はいつごろ行ったらよいのでしょうか。 英国のガイドラインを見てみましょう。 NICEのガイドラインでは、治療の効果判定は48時間後に行うことが推奨されています。 The use of intravenous antibiotics should …

蜂窩織炎の治療期間はどれくらい?

蜂窩織炎の治療期間は「皮疹が消えるまで」と習った気がします。 しかし実際には抗菌薬はどれくらいの期間投与したらよいのでしょうか。 海外のガイドラインを見てみましょう。 米国感染症学会(IDSA)ガイドライン 英国国立医療技術評価機構(NICE)ガイド…

本を出版しました!

この度、医学書院様より本を出版しました。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた ・本の制作意図と、私が影響を受けた書籍をこちらの記事にまとめました>>書籍の紹介 ・執筆の裏側も公開中>>医学書執筆の裏側 ・感想、ご意見はこちらから>>お問い合わせ

著書の参考書籍⑤嫌われる勇気

この度、医学書院様より本を出版しました。 www.derma-derma.net この本は様々な書籍、教科書から影響を受けて制作されています。 誰も教えてくれなかった診断学 極論で語る神経内科 内科診療フローチャート 不明熱・不明炎症レジデントマニュアル 嫌われる…

著書の参考書籍④不明熱・不明炎症レジデントマニュアル

この度、医学書院様より本を出版しました。 www.derma-derma.net この本は様々な書籍、教科書から影響を受けて制作されています。 誰も教えてくれなかった診断学 極論で語る神経内科 内科診療フローチャート 不明熱・不明炎症レジデントマニュアル 嫌われる…

著書の参考書籍③内科診療フローチャート

この度、医学書院様より本を出版しました。 www.derma-derma.net この本は様々な書籍、教科書から影響を受けて制作されています。 誰も教えてくれなかった診断学 極論で語る神経内科 内科診療フローチャート 不明熱・不明炎症レジデントマニュアル 嫌われる…

著書の参考書籍②極論で語る神経内科

この度、医学書院様より本を出版しました。 www.derma-derma.net この本は様々な書籍、教科書から影響を受けて制作されています。 誰も教えてくれなかった診断学 極論で語る神経内科 内科診療フローチャート 不明熱・不明炎症レジデントマニュアル 嫌われる…

著書の参考書籍①誰も教えてくれなかった診断学

この度、医学書院様より本を出版しました。 www.derma-derma.net この本は様々な書籍、教科書から影響を受けて制作されています。 誰も教えてくれなかった診断学 極論で語る神経内科 内科診療フローチャート 不明熱・不明炎症レジデントマニュアル 嫌われる…

著書の紹介「誰も教えてくれなかった皮疹の見かた・考えかた」

この度、医学書院様より本を出版しました。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた みなさんは皮膚科の教科書を読んで、このような感想を持ったことはないでしょうか? ・難しい用語の解説ばかりでとっつきにくい ・疾患の写真が並べられているだけ…

膿痂疹は培養検査で診断できる?

「細菌培養が陽性なので膿痂疹と診断したが、抗菌薬が効かない」という相談を受けることがあります。 これは診断が間違っているパターンがほとんどです。 膿痂疹の診断は培養検査ではできないからです。 湿疹などのびらん面には、黄色ブドウ球菌をはじめとす…