2020-01-01から1年間の記事一覧
即時型反応は一般的に、IgEを介したⅠ型アレルギーで起こります。 しかし造影剤では少し異なっています。 造影剤はマスト細胞を直接刺激することがあり、アレルギーではない機序で反応を起こすことがあるのです。 造影剤の即時型反応 IgE依存性(アレルギー性…
局所麻酔薬に対するアレルギーの既往がある患者は多いですが、はたしてそれは本当にアレルギーなのでしょうか。 局麻アレルギーの既往がある患者に皮膚テストを行った研究があります。 アレルギー 58(6): 657, 2009 NAID: 110007337994 20人の患者に対してキ…
医療用のゴム手袋に対するアレルギーを持つ人がいます。 有名なのはラテックスアレルギーで、ラテックスフリーの合成ゴム手袋が使用されています。 天然ゴム:ラテックス 合成ゴム:ポリイソプレン、ニトリルなど ところがゴム手袋アレルギーの原因はラテッ…
魚を食べた後に蕁麻疹が出現する患者さんがいます。 これは魚アレルギーと思われがちですが、原因は他にも2つ考える必要があります。 魚を食べた後の蕁麻疹の原因 1. 魚アレルギー2. アニサキスアレルギー3. アレルギー様の食中毒(ヒスタミン) 魚摂取後の…
ハチに刺された場合2回目が危険と言われますが、実際にアレルギーを起こす可能性はどれくらいあるのでしょうか。 まずハチに刺された患者はどれくらいの割合で感作されるのかを考えてみます。 論文を見てみましょう。 JAMA. 262(2): 240, 1989 1年以内にハ…
蚊に刺されたときの皮膚症状は、吸血の際に注入される唾液腺物質によって起こります。 唾液腺物質に対するアレルギー反応が皮膚症状の原因です。 しかし人によって蚊に刺されたときの反応は違います。 なぜ違いがあるのでしょうか。 アレルギー反応には即時…
傷の洗浄は一般的に行われていますが、周囲の皮膚に関してはあまり意識されていないことが多いです。 今回は傷の周囲の皮膚に関する論文を紹介します。 J Wound Care. 14(4): 169, 2005(PMID: 15835228) 褥瘡に対して周囲の皮膚を生食のみで洗浄した群と、…
以前、手術後の予防的抗菌薬の効果は証明されていないという論文を紹介しました。 それでは外傷の場合はどうでしょうか。 汚染のない外傷で抗菌薬の効果を調べたメタアナリシスを紹介します。 Am J Emerg Med 13(4): 396, 1995 (PMID: 7605521) 【創部感染発…
「傷を見たら培養をしろ」昔はそんなふうに習ったことがあるような気がします。 創部の培養はよく行われていますが注意が必要です。 傷が感染を起こしているのかは、創部培養で分かるのでしょうか。 非感染創の培養を行った研究を見てみましょう。 Med J Mal…
熱傷で最も重要な処置は「冷却」と言われています。 しかし何分くらい冷やしたらいいかは教科書には書かれておらず、熱傷のガイドラインにも記載がありません。 そこで海外のガイドラインを調べてみると、オーストラリアのガイドラインに詳しい記載がありま…
受傷直後の熱傷に対して、炎症を抑制する目的でステロイド外用薬が使用されることがあります。 標準皮膚科学(第11版)には以下のような記載があります。 Ⅰ度熱傷:紅斑・疼痛が著しければ、ワセリン基剤のステロイド、消炎鎮痛薬を塗布する。 ステロイドは…
熱傷の水疱に対しては、どんな処置を行えばいいのでしょうか。 実は水疱の処置に関しては意見が分かれていて、統一した見解はないようようです。 国内と海外のガイドラインを見てみましょう。 まず日本熱傷学会のガイドラインです。 感染のリスクを考えなが…
熱傷の水疱を見たとき、どんな処置を行えばいいのでしょうか。 実は水疱の処置に関しては意見が分かれていて、統一した見解はないようようです。 前回の記事ではガイドラインを確認しました。 www.derma-derma.net 今回はエキスパートオピニオンを見てみまし…
熱傷の手術については、あまり習うことがない気がします。 深達度によってⅠ~Ⅲ度に分類されていますが、受傷直後に正確に診断するのは困難です。 壊死組織が分界され範囲がはっきりするのは受傷後10日~2週間後になります。 この2週間が基準になり、早期手術と…
セーレには様々な種類がありますが、どんな違いがあってどう使い分けるのか、初心者には分かりにくいと思います。 そこで2つのポイントからまとめてみました。 まず刃が曲がっているか、まっすぐかの違いです。 ・曲→組織を切るセーレ・直→糸を切るセーレ 曲…
皮膚科、形成外科では真皮縫合がよく行われます。 真皮縫合にはどのような利点があるのでしょうか。 術後瘢痕に対する真皮縫合の効果を調べた報告があります。 Br J Plast Surg. 42(1): 74, 1989 PMID: 2537125 45人の腕のタトゥーを2カ所切除し、1カ所は真…
手術の時に使用する吸収糸にはいろいろな種類があります。 しかしバイクリルとPDSの違いなど、それぞれの特徴について解説してある教科書はあまり多くありません。 具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。 PDS、バイクリル、モノクリルの違いと使い分…
術後に肥厚性瘢痕を予防する方法としてテープ固定が行われています。 (3M マイクロポア スキントーン サージカルテープ) はたてしてテープ固定にエビデンスはあるのでしょうか。 動物の傷で術後瘢痕の程度を調べた報告を紹介します。 無処置40例、テープ固定…
日常的に使用される局所麻酔薬にキシロカインとカルボカインがあります。 キシロカインとカルボカインにはどのような違いがあるのでしょうか。 麻酔薬の総説から考えてみます(PEPARS 127: p1, 2017)。 効果の強さ まず麻酔薬の強さに関わるのが分配係数で…
皮膚科の手術ではエピネフリン入りの局所麻酔を使用します。 エピネフリンには血管収縮作用があり、2つの効果があると言われています。 ①麻酔薬の吸収が緩徐になるため作用時間と極量が増える ②術中の出血を減らす これにはエビデンスがあるのでしょうか。 …
術後はガーゼや被覆材で創部を保護するのが一般的です。 しかし創部の保護は本当に必要なのでしょうか。 2つの論文を紹介します。 術後感染 まずは術後感染に関する報告です。 Br J Surg. 76(2): 204, 1989(PMID: 2702460) 抜糸まで創部の保護を続けた633…
術後合併症の代表的なものは感染と血腫です。 皮膚科手術でも、ときどき術後感染や血腫を起こすことがあります。 それでは術後合併症の発生頻度はどれくらいなのでしょうか。 論文を見てみましょう。 J Hosp Infect. 65(3): 258, 2007(PMID: 17244515) 皮膚…
最近は術後の予防的抗菌薬は不要というのがトレンドです。 胃癌手術(準清潔手術)では、抗菌薬投与群の術後感染発症率は未投与群と同等であったというデータがあります。 Br J Surg 94(6): 683,2007(PMID: 17514671) 【創部感染発症率(胃癌手術)】 ・術…
高齢化に伴って皮膚癌患者は増加しており、90歳を超える患者をみることも多くなりました。 超高齢者に対する全身麻酔や侵襲が高い手術はリスクが高く、慎重な判断が必要です。 それでは局所麻酔の手術はどうなのでしょうか。 論文を紹介します。 Int J Derma…
円形脱毛症やケロイドの治療ではステロイドの局所注射(局注)を行います。 ところがステロイド局注の具体的な方法については、教科書にはほとんど記載がありません。 そこで今回は局注についてまとめてみました。 (MB derma 189: 40, 2012) ①使用薬剤 局…
乾癬の光線療法ガイドライン 小児に光線療法を行うことについては,10 歳以上の外用療法による効果が乏しい中程度以上の子供に行う 現在のところ,長期的な安全性について確立されていないので,十分な説明のもと行うべきである.また,照射範囲についても極…
テトラサイクリン系とマクロライド系は特殊な抗菌薬です。 これらは抗菌作用だけでなく、顆粒球(好中球)の活性を抑制する作用を持っています。 そのため抗炎症の効果があり、感染症以外にも使用されることがあります。 論文を見てみましょう。 J Invest De…
自動車運転可 アレグラ、クラリチン、デザレックス、ビラノア 自動車運転注意 タリオン、アレジオン 自動車運転禁止 ルパフィン、ザイザル、アレロック 腎機能によって減量、中止が必要→ザイザル、アレグラ 腎機能による減量不要→アレジオン 腎機能による減…
抗ヒスタミン薬の年齢制限について調べてみました。 7歳以上であればクラリチン、アレロック、タリオンは成人と同じ量で使えます。 ザイザル、アレグラは半量です。 デザレックスとルパフィンは12歳以上で使用が可能です。
妊娠中に安全性が高い薬剤 授乳中に安全性が高い薬剤 妊娠中,授乳中の抗ヒスタミン薬投与は安全と考えられるが,エビデンスは完全ではないので,治療上必要とされる場合に,安全性の報告があるロラタジン,デスロラタジン,セチリジン,フェキソフェナジン…