皮膚科の豆知識ブログ

日々の小さな疑問を解決する論文を紹介。講演、お仕事の依頼は「お問い合わせ」からお願いします。

湿疹・蕁麻疹

湿疹が治るまでどれくらいかかるのか?

湿疹が治るまでには、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。 アトピー性皮膚炎の研究を見てみましょう。 外用免疫抑制剤(ピメクロリムス)の寛解維持効果を見た臨床試験ですが、まず寛解導入のために外用ステロイドが使用されています。 Dermatology. 222…

湿疹が治らないときに考えること

「湿疹が治らない」 これは皮膚科医であれば誰しも経験することだと思います。 また「治らない」という訴えでドクターショッピングを繰り返す患者もいます。 それでは湿疹が治らない時はどうすればよいのでしょうか。 まず治らない理由にどんなものがあるの…

湿疹患者の外用薬継続率はどれくらい?

外来診療を行っていると、外用薬をきちんと使用できていない患者が多い印象があります。 実際、薬を塗るのは大変で、続けれられなくても無理はありません。 それでは具体的に外用薬の継続率はどれくらいなのでしょうか。 論文を見てみましょう。 J Am Acad D…

湿疹に抗ヒスタミン薬は有効ですか?

皮膚の痒みは、ヒスタミンが神経に作用することで誘発されます。 そのため神経のヒスタミン受容体を阻害する抗ヒスタミン薬には、痒みを抑制する効果があります。 しかし湿疹の痒みを起こす物質はヒスタミンだけではありません(IL-4、IL-13などのサイトカイ…

湿疹に内服ステロイドを使う場面は?

症状が重篤な湿疹に対しては内服ステロイドを使うことがあります。 それでは具体的には、どのような場面で、どれくらいの量を使えばよいのでしょうか。 接触皮膚炎のガイドラインを見てみましょう。 日本皮膚科学会雑誌 130(4), 523, 2020 NAID: 13000783359…

小児のアトピー性皮膚炎はどれくらい治癒する?

「子どものアトピーは自然に治る」と言われますが、これは本当なのでしょうか。 論文を見てみましょう。 Br J Dermatol. 170(1): 130, 2014 PMID: 23980909 台湾で行われた、生後2歳までに発症したアトピー性皮膚炎の小児1404人の調査です。 10歳まで皮膚炎…

高齢者にアトピー性皮膚炎はあるのか?

従来、アトピー性皮膚炎は小児の疾患と考えられていました。 1970年代のデータを見ると、成人の割合は10%程度です。 【アトピー患者の年齢(1976年)】 ・9歳以下:68%・10~19歳:19%・20~29歳:7%・30歳以上:6% Asia Pac Allergy. 1(2): 64, 2011 しかし…

接触皮膚炎の原因物質は何が多い?

日常診療で接触皮膚炎に遭遇する頻度は高いですが、原因は何が多いのでしょうか。 日本接触皮膚炎研究班が行った疫学調査を見てみましょう。 日本皮膚科学会雑誌 130 (4), 523-567 NAID: 130007833597 パッチテストで原因が判明した接触皮膚炎423例のまとめ…

染毛剤の接触皮膚炎が起きるまでの期間

染毛剤の接触皮膚炎は比較的遭遇することが多い疾患です。 「今までは大丈夫だった」と言われることが多い印象がありますが、感作までにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。 論文を紹介します。 日皮会誌:106 (11),1397, 1996 パラフェニレンジアミン…

湿布の光接触皮膚炎はいつまで続く?

NSAIDsの一種であるケトプロフェンには光線過敏の副作用があります。 そのためケトプロフェンが含有された湿布(モーラステープ)は光接触皮膚炎を引き起こすことがあります。 さらに薬の成分は湿布をはがした後でも長く皮膚に残ります。 光接触皮膚炎を起こ…

皮膚乾燥から湿疹になるのはなぜ?

皮膚乾燥は湿疹の原因になります。 それではどうして皮膚乾燥から湿疹が起こるのでしょうか。 ドライスキンによって湿疹が生じるメカニズムは以下の通りです。 ①皮膚の乾燥によってかゆみ過敏が生じる (ケラチノサイトの活性化や表皮内への神経線維の延長に…

歳を取ると皮膚が乾燥するのはなぜ?

歳を取ると皮膚が乾燥しやすくなります。 それはなぜなのでしょうか。 皮膚(角層)の水分は皮脂や汗によって保たれています。 しかし加齢に伴って皮脂腺や汗腺の機能が低下。 それによって皮脂や汗の分泌量が低下するため、皮膚が乾燥しやすくなるのです。 …

脂漏性皮膚炎の予防法

脂漏性皮膚炎は皮脂の過分泌が原因とされています。 皮膚の常在菌(マラセチア)によって皮脂が刺激性の脂肪酸などに分解され、皮膚の炎症を引き起こします。 そのため脂漏性皮膚炎の予防には、抗真菌薬によるマラセチアのコントロールが有効です。 具体的な…

蕁麻疹の原因はなに?

蕁麻疹の診療で最も多く遭遇するのが「原因は何ですか?」という質問です。 世間一般では蕁麻疹はすべてアレルギーによって起こると思われています。 そのためアレルギー検査を希望されることも多いです。 それではアレルギーによる蕁麻疹の割合はどれくらい…

蕁麻疹が治るまでどれくらいかかる?

急性蕁麻疹はどれくらいの期間で治癒するのでしょうか。 それを調べた論文があります。 J Dermatol. 21(2): 73, 1994 PMID: 8182214 (こちらの文献に詳しい数値の記載あり:臨床医薬 17(5): 727, 2001) 急性蕁麻疹患者50人に抗ヒスタミン薬を投与し、治癒…

蕁麻疹に抗ヒスタミン薬はどれくらい効く?

蕁麻疹治療の第一選択は抗ヒスタミン薬です。 それではどれくらいの効果があるのでしょうか。 論文を見てみましょう。 臨床皮膚科. 57(5): 40, 2003 NAID: 10012879599 蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬の臨床試験の結果がまとめられています。 【症状が中等度…

睡眠薬代わりに第一世代抗ヒスタミン薬を出す?

第1世代抗ヒスタミン薬には鎮静作用があり、鎮静性抗ヒスタミン薬と呼ばれています。 Allergy. 65(4): 459, 2010 PMID: 20146728 眠気の発生率 ・ポララミン:40%・アタラックス:80% そのため基本的には第2世代抗ヒスタミン薬が使用されます。 ところが内…

蕁麻疹が治りませんと言われたら

「蕁麻疹が治らない」といって転院してくる患者は、2つのパターンに分けられます。 難治性の蕁麻疹 内服が不十分 もちろん難治性の蕁麻疹の可能性はありますが、内服が不十分な場合もあることに注意が必要です。 皮疹が出現したときだけ間欠的に内服している…

蕁麻疹にステロイドは効くのか?

蕁麻疹の治療の基本は抗ヒスタミン薬です。 ほとんどの症例は抗ヒスタミン薬でコントロールすることができます。 ところが一部、薬の効果が乏しい患者も存在します。 そんなときステロイドの全身投与が行われることがありますが、その効果はどれくらいあるの…