皮膚科の豆知識ブログ

日々の小さな疑問を解決する論文を紹介。講演、お仕事の依頼は「お問い合わせ」からお願いします。

外用ステロイドも漸減したほうがいい?

自己免疫疾患に内服ステロイドを使用する際、症状が改善した後も急に中止せず漸減するのが一般的です。 そして減量の際、副作用を軽減するために間歇投与(2日に1回など)が行われます。 外用薬を使用する場合にも漸減は必要なのでしょうか。 そして間歇投与…

ステロイドと保湿剤を混合したらどうなる(抗炎症効果)

ステロイド外用薬と保湿剤を併用することで、症状をより改善することができる可能性があります。 www.derma-derma.net そこでステロイド外用薬と保湿剤を混合することがあります。 しかし混合して薄まった場合も効果は維持されるのでしょうか。 今回は抗炎症…

ステロイドと保湿剤を混合したらどうなる(保湿効果)

ステロイド外用薬と保湿剤を併用することで、症状をより改善することができる可能性があります。 www.derma-derma.net そこでステロイド外用薬と保湿剤の混合が行われます。 しかし混合して薄まっても効果は維持されるのでしょうか。 今回は保湿効果について…

【書籍の復習用】国試解説:第9回

前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 今回は第4章の内容になります。 【問題】 以下の表面がツルツルで周囲との境界が不明瞭な紅斑をみたとき、注目すべきポイントは何でしょう。 …

【書籍の復習用】国試解説:第8回

前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 今回は第4章の内容になります。 【問題】 以下の紅斑をみたとき、注目すべき2つのポイントは何でしょう。 (110-I79) 国試問題文(抜粋) 45…

【書籍の復習用】国試解説:第7回

前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 今回は第3章の内容になります。 【問題】 以下の24時間以上持続する紅斑をみたとき、まず確認するのは何でしょう。 (108-A51) 国試問題文(…

【書籍の復習用】国試解説:第6回

前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 今回は第3章の内容になります。 【問題】 以下の24時間以上持続する紅斑をみたとき、まず確認するのは何でしょう。 (102A-33) 国試問題文(…

【書籍の復習用】国試解説:第5回

前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 今回は第3章の内容になります。 【問題】 以下の紅斑をみたときに、まず確認するのはなんでしょう。 (112C-25) 国試問題文(抜粋) 32歳の女…

保湿剤にはどんな効果がある?

皮膚科の治療では保湿剤が重要な役割を果たします。 それでは保湿剤には具体的にはどのような効果があるのでしょうか。 再燃予防効果 保湿剤は皮膚炎そのものに対する直接的な効果は期待できませんが、ドライスキンを改善することができます。 そのためドラ…

保湿剤は1日何回塗ればいい?

保湿剤は1日何回塗ればいいのでしょうか。 添付文書を見ても、使用回数は1日1~数回と記載されていてよくわかりません。 論文を見てみましょう。 日本皮膚科学会雑誌 122(1): 39, 2012 NAID: 130004708841 健常成人5人の前腕に人工的に乾燥皮膚を作り、1か所…

保湿剤は入浴後に塗った方がいい?

保湿剤は入浴後に塗るのがいいといわれています。 その理由は2つあるようです。 入浴後に皮膚の乾燥が進むのを予防 入浴で吸収した水分を閉じ込めるので保湿効果が高い まず入浴洗浄によって皮膚表面の皮脂が取れるため、そのまま放置しておくと皮膚の乾燥が…

ワセリン、ヒルドイド、尿素はどれがいい?

保険で処方できる保湿剤は3種類あります。 ワセリン(プロペト) ヘパリン類似物質(ヒルドイド) 尿素(ウレパール、パスタロンなど) これらはどのように使い分ければよいのでしょうか。 論文を見てみましょう。 日皮会誌 121(7): 1421, 2011 NAID: 100311…

ヒルドイドはクリームとローションどちらがいい?

保湿剤であるヒルドイドには様々な剤型があります。 これらはどのように使い分ければよいのでしょうか。 ローションとクリーム(ソフト軟膏)を比較した論文を紹介します。 日本皮膚科学会雑誌 122(1): 39, 2012 NAID: 130004708841 健常成人5人の前腕に人工…

尿素の濃度は何%がいいですか?

尿素製剤には2つの濃度があります。 ・ウレパール→10%・ケラチナミン→20%・パスタロン→10%と20% これらはどのように使い分ければよいのでしょうか。 論文を見てみましょう。 Dermatol Ther. 31(6): e12690, 2018 PMID: 30378232 尿素は角質細胞中の天然保…

保湿剤とステロイドはどちらを先に塗る?

保湿剤とステロイド外用薬を併用する状況は多いです。 そんなときに気になるのが「どちらを先に塗ればいいのか」。 先に保湿剤を塗ってしまうと、後で塗るステロイドの吸収率が低下するような気もします。 しかし保湿剤を後で塗ると、最初に塗ったステロイド…

もっと皮膚科診断を学びたい人のための本

私の著書の第4刷が発行されました。 多くの方にご購入いただき大変うれしいです。 www.derma-derma.net ですが「誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた」を読んで物足りないと思った方や、もっと詳しく皮膚科診断を勉強したいと思った方もいるかもし…

「誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた」の第4刷が発行されました

この度、私の著書「誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた」の第4刷が発行されました。 購入してくださった皆様ありがとうございました。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 第○刷というのは増刷された回数を表しています。 最初に印刷した本が売…

キズにゲンタシン軟膏を使うか?(油脂性基剤の選びかた)

潰瘍治療薬は剤型によって3つに分類するとわかりやすくなります。 油脂性基剤(水を保つ) 水溶性基剤(水を減らす) 乳剤性基剤(水を増やす) 創部の水分の状態に応じて薬剤を使い分けるのが創傷治療の原則です。 剤型別に外用薬の使いわけを解説したいと…

ユーパスタ、カデックス、ヨードコートの違いと使い分け(水溶性基剤の選びかた)

潰瘍治療薬は剤型によって3つに分類するとわかりやすくなります。 油脂性基剤(水を保つ) 水溶性基剤(水を減らす) 乳剤性基剤(水を増やす) 創部の水分の状態に応じて薬剤を使い分けるのが創傷治療の原則です。 剤型別に外用薬の違いと使いわけを解説し…

ゲーベンとオルセノンの違い(乳剤性基剤の選びかた)

潰瘍治療薬は剤型によって3つに分類するとわかりやすくなります。 油脂性基剤(水を保つ) 水溶性基剤(水を減らす) 乳剤性基剤(水を増やす) 創部の水分の状態に応じて薬剤を使い分けるのが創傷治療の原則です。 剤型別に外用薬の使いわけを解説したいと…

オイラックスにはどんな効果がある?(殺虫効果)

オイラックスという外用薬があります。 この薬剤にはどのような効果があるのでしょうか。 オイラックスの成分であるクロタミトンは、1940年代に疥癬に対する殺虫剤として開発されました。 しかしその後に痒みに対する効果が分かり、鎮痒性外用薬としても使用…

オイラックスにはどんな効果がある?(鎮痒効果)

オイラックスという外用薬があります。 この薬剤にはどのような効果があるのでしょうか。 オイラックスの成分であるクロタミトンは、1940年代に疥癬に対する殺虫剤として開発されました。 しかしその後に痒みに対する効果が分かり、鎮痒性外用薬としても使用…

NSAIDs外用薬は皮膚炎に使わないほうがいい?(効果について)

NSAIDs外用薬には2種類あります。 皮膚疾患用(皮膚炎) 整形外科疾患用(関節痛、筋肉痛) 今回は湿疹・皮膚炎に使用する皮膚疾患用NSAIDs外用薬について見てみます。 NSAIDs外用薬の位置づけ ステロイド外用薬には免疫抑制や皮膚萎縮などの副作用がありま…

NSAIDs外用薬は皮膚炎に使わない方がいい?(副作用について)

NSAIDs外用薬には2種類あります。 皮膚疾患用(皮膚炎) 整形外科疾患用(関節痛、筋肉痛) 今回は湿疹・皮膚炎に使用する皮膚疾患用NSAIDs外用薬について見てみます。 NSAIDs外用薬の位置づけ ステロイド外用薬には免疫抑制や皮膚萎縮などの副作用がありま…

【書籍の復習用】国試解説:第4回

前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 今回は第2章の内容になります。 【問題】 以下の皮疹が真菌検査陰性でステロイド外用を行っても治癒しない場合、何を行えばよいでしょうか。 …

【書籍の復習用】国試解説:第3回

前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 今回は第2章の内容になります。 問題 以下の皮疹をみたときに、まず何を行えばよいでしょう。 (112D-33) 国試問題文(抜粋) 8歳の男児.2ヵ…

【書籍の復習用】国試解説:第2回

前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 今回は第2章の内容になります。 問題 以下のような皮疹をみたとき、まず何をすればよいでしょうか。 (110-C24) 国試問題文(抜粋) 52歳の女…

【書籍の復習用】国試解説:第1回

この度、医学書院様より本を出版しました。 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた 書籍を購入してくださった方に向けて、Twitterで書籍の内容をもとにした国家試験の解説を行いました。 今回、改めてブログにまとめたいと思います。 問題 次の3つの紅斑を見た…

次回作の構想

次回作の構想メモ 前著の続編(同じコンセプト)の要望がある。 しかし次回作はまったく違ったスタイルの書籍にしたい。 具体的にはマニュアル本。 医学書は成書、マニュアル、通読型の3種類に分類される。 前著は読み物的な「通読型」だったので、次回は別…

湿疹が治るまでどれくらいかかるのか?

湿疹が治るまでには、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。 アトピー性皮膚炎の研究を見てみましょう。 外用免疫抑制剤(ピメクロリムス)の寛解維持効果を見た臨床試験ですが、まず寛解導入のために外用ステロイドが使用されています。 Dermatology. 222…