皮膚科の豆知識ブログ

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抗菌薬の抗炎症作用

テトラサイクリン系とマクロライド系は特殊な抗菌薬です。

これらは抗菌作用だけでなく、顆粒球(好中球)の活性を抑制する作用を持っています。

そのため抗炎症の効果があり、感染症以外にも使用されることがあります。

論文を見てみましょう。

J Invest Dermatol. 86(4): 449, 1986(PMID: 3755739)

 

顆粒球に様々な抗菌薬を添加し、顆粒球の活性酸素産生量を測定しています。

 

<好中球活性(活性酸素産生)の抑制効果>

 

ペニシリン系やセフェム系抗菌薬では特に変化はありませんが、マクロライド系、テトラサイクリン系では活性酸素の産生量が抑制されています。

つまり顆粒球の活性を抑制しています。

 

この効果に期待して、感染症以外の様々な疾患で利用されています。

例えば自己免疫疾患である水疱性類天疱瘡では、ドキシサイクリンにステロイド内服と同等の効果が示されています。

Lancet. 389: 1630, 2017(PMID: 28279484)

 

さらに海外では抗菌作用をもたないドキシサイクリン40mgの徐放製剤も発売されているようです。

通常のドキシサイクリン50mgと比較して血中濃度が上昇せず(抗菌活性の1000ng/ml以下)、耐性菌を誘導しないそうです。

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