皮膚科の豆知識ブログ

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ステロイド局注の方法

円形脱毛症やケロイドの治療ではステロイドの局所注射(局注)を行います。

ところがステロイド局注の具体的な方法については、教科書にはほとんど記載がありません。

そこで今回は局注についてまとめてみました。

 

①使用薬剤


局注にはステロイド懸濁液を使用します。

懸濁液とはステロイドをエステル化し油性にしたもので、注射した部位に留まり、効果が長時間持続するのが特徴です。

薬剤としてはケナコルト-A水濁注とリンデロン懸濁注があります。


最もよく使用されており、国内のガイドラインにも記載されているのは、皮内用・関節腔用ケナコルト-Aです。

施設によっては、やむをえず筋注用・関節腔用を使う場合がありますが、本来の適応ではなく濃度調整も難しいのが難点です。

 

②濃度


円形脱毛症のガイドラインには「ケナコルト-Aの使用濃度は2~10mg/mL」と記載されています。

しかし副作用の観点から原液のままではなく、希釈して用いるのが望ましいでしょう。


希釈に用いる溶液は生理食塩水または局所麻酔薬と記載されており、円形脱毛症では生理食塩水を用いて希釈している施設が多いようです。

(ちなみに肥厚性瘢痕・ケロイドのガイドラインでは、注射後の疼痛を緩和するために、局所麻酔薬で希釈することが推奨されています。)

 

濃度に関しては海外では5mg/mLが推奨されており、私は皮内用・関節腔用ケナコルト-Aを2倍希釈して5mg/mLで使用しています。


ただし,10mg/mL(原液),5mg/mL(2倍希釈),2.5mg/mL(4倍希釈)に有効性に差はないという報告があり、4倍希釈して使用している施設もあるようです。

 

③方法


できるだけ細かくまんべんなく行うのがよいため、5mm間隔で1カ所につき50μLを注射します。

1回の総使用量は、円形脱毛症ガイドラインでは10mgまで(5mg/mLで2mL,2.5mg/mLで4mL)とされています。


投与間隔は4~6週に1回が推奨されており、私は1カ月間隔で行っています。

また6カ月間で効果がみられない場合は中止が望ましいとされているようです。