皮膚科の豆知識ブログ

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皮膚科手術の術後合併症の発生頻度はどれくらい?

術後合併症の代表的なものは感染と血腫です。

皮膚科手術でも、ときどき術後感染や血腫を起こすことがあります。

それでは術後合併症の発生頻度はどれくらいなのでしょうか。

論文を見てみましょう。

J Hosp Infect. 65(3): 258, 2007(PMID: 17244515)

 

皮膚科手術を受けた患者3491人(縫縮3071人、植皮・皮弁420人)に対して、術後感染と出血合併症(術直後の出血と血腫)の頻度を調査した後方研究です。

まず術後感染症の頻度です。

術後感染症の頻度

・全体:1.9%
・縫縮:1.6%
・再建(植皮・皮弁):4.3%

 

術後感染症の頻度は1.9%です。

また縫縮と再建で分けると、再建術のほうが感染率は高かったようです(P<0.001)。

 

次に出血合併症(術直後の出血 or 血腫)の頻度を見てみましょう。

出血合併症の頻度

・全体:2.5%
・縫縮:1.8%
・再建(植皮・皮弁):7.1%

 

出血合併症の頻度は2.5%です。

また縫縮と再建で分けると、こちらも再建術のほうが頻度が高かったようです(P<0.05)。

 

血腫は感染のリスクを上昇させます。

再建術の出血合併症の頻度が高いことが、感染率の高さにつながっているのでしょう。

 

再建術を行うときは、合併症に特に注意する必要があるようです。