皮膚科の豆知識ブログ

皮膚科専門医のブログです。日々の小さな疑問を解決する論文を紹介します。

熱傷は何分間冷やせばいいのか?

 熱傷は冷やすことで、最終的な組織損傷を減らすことができます(Burns Incl Therm Inj. 9(1): 1, 1982) 。

それではどれくらいの時間冷やしたらよいのでしょうか?

 

海外の論文では15℃で30分というのが一般的な基準のようです。

また以下の論文では受傷後2分以内に冷却を開始する必要があると記載されています。

J Trauma. 19(1): 56-60, 1979(PMID: 762717)

 

日本ではどうでしょうか。

いくつかのサイトから冷却時間についての記載をまとめてみます。

まず皮膚科学会のホームページには15~30分と書かれています。

水道水でかまいませんので冷やすことがとても大切です。15-30分間冷却すると良いと思います。

(日本皮膚科学会ホームページ)

 

 次に熱傷学会のホームページには5~30分と書かれています。

一般的には最低5分から30分くらいを、できれば流水で冷やします。

(日本熱傷学会ホームページ)

 

これらの記載からは流水で30分程度冷やすのがよさそうです。

 

ところがup to dateには、流水を5分以上かけると創部が浸軟してしまうので、避けるよう記載されています。

Cool running or still water is applied until pain diminishes but should not be applied for longer than approximately five minutes to avoid macerating the wound. 

(UpToDate: Treatment of minor thermal burns)

 

これは悩ましいところです。

そこでup to dateでは、代替の冷却法として濡れタオルやガーゼで30分覆うことが推奨されています。

(UpToDate: Treatment of minor thermal burns)

Alternatively, the wound may be covered with wet gauze or towels, which can decrease pain without immersing the wound and may be kept on the wound for as long as 30 minutes, until dressings are applied.

 

濡れタオルでの冷却が最も無難な方法かもしれません。

ちなみに氷や氷水での冷却も望ましくないようです。

Direct application of ice or iced water should be avoided as this can increase pain and burn depth.