皮膚科の豆知識ブログ

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傷の培養検査で気をつけること

 「傷を見たら培養をしろ」昔はそんなふうに習ったことがあるような気がします。

創部の培養はよく行われていますが注意が必要です。

 

傷が感染を起こしているのかは、創部培養で分かるのでしょうか。

非感染創の培養を行った研究を見てみましょう。

Med J Malaysia. 56(2): 201, 2001(PMID: 11771081)

 

受傷直後の開放骨折患者33人に対して、創部の培養が行われました。

非感染創の培養陽性率:39.3%(13人/33人)

 

傷が感染を起こしていなくても、定着菌によって4割程度陽性になるようです。

そのため培養検査では感染の有無はわかりません。

 

また感染が起こったときのために、予め培養を行っておくケースがありますが、それについてはどうでしょうか。

この研究では、その後感染を起こすかどうかも調査されています。

 

まず感染は培養陽性、陰性に関わらず起こっています。 

そして感染前に培養された菌と、感染時に検出された菌が一致したのは33%でした。

 

そのため創部の培養は感染時の起因菌予測にも使用できません。

非感染創の培養検査は行わないほうがよいでしょう。