アレルギーには即時型と遅延型の2種類があることは、誰もが知っていると思います。
ところが造影剤の副作用の相談を受けてみると、即時型と遅延型が区別されていないことが多いと感じます。
「造影剤の副作用=アナフィラキシー」と考えている人が多いのですが、遅延型も存在しています。
まずそれぞれの頻度がそれぞれどれくらいなのかのデータを紹介します。
7505人のヨード造影剤投与患者の前向き研究です。
Eur Radiol. 13(1): 185, 2003 PMID: 12541129
【造影剤の副作用の頻度】
・即時型:2.1%
・遅延型:2.8%
このように遅延型反応も結構多いのです。
造影剤の副作用をみた場合、まずどちらの型なのかを判断しなければなりません。
皮疹が発症したタイミングを把握することで、即時型と遅延型を鑑別することができます。
- 即時型:投与から1時間以内(多くが5分以内)
- 遅延型:投与から数時間~数日後
(Allergy. 60(2): 150, 2005 PMID: 15647034)
それでは遅延型反応はどれくらいの時間で発症することが多いのでしょうか。
造影剤投与から皮疹出現までの時間を調べた論文を紹介します。
皮膚科の臨床 54(11): 1562, 2012
【遅延型反応の発症時期】
・1~2日後:35%
・3~4日後:6%
・5~6日後:43%
・7日以降:16%
1~2日後と5~6日後に2つピークがあります。
1~2日で発症しているのは既感作の患者です。
一方、5~6日で発症するのは未感作だった患者です。造影剤アレルギーは、体内に残る造影剤で感作が成立し約1週間後に発症するのです。
5日~6日後の発症では、造影剤の使用が見落とされやすいので注意が必要です。