皮膚科の豆知識ブログ

日々の小さな疑問を解決する論文を紹介。講演、お仕事の依頼は「お問い合わせ」からお願いします。

アレルギー検査(遅延型)の陽性率はどれくらい?

遅延型アレルギーの原因を特定するための検査として「DLST」と「パッチテスト」があります。

それではこれらの陽性率はどれくらいなのでしょうか。総説から引用してみます。

治療 89(12): 3281, 2007 NAID: 40015720937

【薬疹検査の陽性率】

・DLST陽性率:40-60%
・パッチテスト陽性率:30-50%

 

このように陽性率は50%程度とあまり高くありません。

あまり検査を当てにしすぎると、陰性の結果が出たときの判断に苦労することになります。

 

DLSTは患者のリンパ球に薬剤を加えて培養を行う検査です。

そのため細胞の増殖に影響を及ぼす薬剤は偽陽性、偽陰性になりやすいとされています。

皮膚科の臨床59(6): 801, 2017 NAID: 40021234114

【偽陰性になりやすい薬剤】

抗癌剤:細胞毒性でSI値↓

抗癌剤はリンパ球に対する細胞毒性があるため数値が低下して偽陰性になりやすいようです。

 

【偽陽性になりやすい薬剤】

MTX:サルベージ回路を活性化しSI値↑
TS-1:サルベージ回路を活性化しSI値↑
NSAIDs:プロスタグランディン阻害でSI値↑

これらの薬剤は様々な機序で細胞の増殖を促進し、偽陽性になりやすいとされています。

特にMTXの偽陽性率は50%と非常に高いようで注意が必要です。

(臨床リウマチ 19(3): 170, 2007 NAID: 130006789737)