成人スティル病ではフェリチンが上昇することが知られていますが、どれくらい有用なのでしょうか。
フェリチンの感度・特異度について書かれた総論を紹介します。
日本内科学会雑誌 92(10): 1977, 2003 NAID: 10011933566
・フェリチン上昇 ⇒ 感度91.9%、特異度47.0%
(陽性尤度比:1.73、陰性尤度比:0.17)
フェリチンは様々な疾患で上昇するため特異度は低く、陽性尤度比は1.73と診断にはあまり役に立たなさそうです。
もう少しフェリチンが高ければどうでしょうか。
・フェリチン5倍以上に上昇 ⇒ 感度74.8%、特異度83.2%
(陽性尤度比:4.45)
・フェリチン10倍以上に上昇 ⇒ 感度58.8%、特異度88.5%
(陽性尤度比:5.11)
この結果から、正常上限の5倍以上が診断の参考項目、10倍以上は診断価値が高いとされています。
SRLのホームページによるとフェリチンの正常上限値は男性340ng/mL、女性114ng/mLです。
・5倍以上⇒男性1700ng/mL以上、女性570ng/mL以上
・10倍以上⇒男性3400ng/mL以上、女性1140ng/mL以上
またフェリチン高値と判断する基準は1000 ng/ml以上と書かれた教科書もあります。
さらに5000 ng/ml以上になると、ほぼ成人スティル病と血球貪食症候群に限られるそうです。
5000 ng/ml以上をみたときには鑑別は成人スティル病と、血球貪食症候群にほぼ限られる。
とはいえフェリチンのみでの確定診断、除外診断は難しそうです。
成人スティル病の診断ではフェリチン以外の臨床症状を正確に把握することが先決です。