皮膚科の豆知識ブログ

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ASOはどんなときに使うのか?

溶連菌感染症を診断するための血液検査としてASOがあります。

ASOはどのような場面で使用するのでしょうか。

 

A群溶連菌が産生する活性蛋白streptolysin Oに対するIgG抗体がASO(anti-streptolysin O)です。

IgG抗体なので上昇するまでに時間がかかることに注意が必要です。

 

上昇するまでにどれくらいの時間がかかるのでしょうか。

それを調べた論文があります。

Br J Rheumatol. 37(3): 335, 1998(PMID: 9566678)

【溶連菌感染後のASOの陽性率】

・1週後:35%

・2週後:45%

・3週後:65%

・4週後:95%

・8週後:100%

 

このように感染後1週間くらいから上昇し、約4週間でピークになるようです。

蜂窩織炎などでASOが測定されていることがありますが、ASOでは急性期の溶連菌感染症は診断できないことに注意が必要です。

 

一方、溶連菌感染後に生じる結節性紅斑やIgA血管炎などの疾患で、感染の証明のために使用する場合は有用です。