皮膚科の豆知識ブログ

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薬疹の治療法

重症薬疹の治療法は教科書に書かれていますし、ガイドラインも存在します。

しかしそれ以外の薬疹をどうすればよいのかは、あまり書かれていない気がします。

そこで薬疹の総説から、治療法の部分を抜粋してみます。

N Engl J Med 366: 2492, 2012(PMID: 22738099)

【薬疹の治療(重症薬疹以外)】

・ほとんどの薬疹は薬剤中止2日後まで広がり1週間で消退
・痒みに対しては抗ヒスタミン薬を用いる
・皮疹に対してステロイド外用を用いるがエビデンスは無い

 

ほとんどの薬疹は薬剤を中止すれば1週間程度で消退します。

一般的に対症療法として、ステロイド外用や抗ヒスタミン薬の内服も行われます。

しかしこれらの治療にエビデンスはないようです。

 

ちなみに薬疹の治療法の内訳を調べた報告もあります。

日皮会誌 122(10): 2495, 2012 (NAID)130004714871

 

341人の薬疹患者の治療法がまとめられています。

【薬疹の治療法】

・対症療法のみ:82%
・ステロイド内服:14%
・ステロイドパルス:3%
・その他:1%

 

8割は対症療法のみで治る軽症例。2割程度がステロイド投与を必要とする重症例です。

重症例を見分けて早期に治療開始するのが、皮膚科医の重要な仕事と言えるでしょう。