私たち皮膚科医を最も怯えさせる疾患が疥癬です。
一見して湿疹や痒疹と見分けがつきづらい。
よくよく手や陰部を観察すれば、疥癬トンネルや疥癬結節が見つかりますが、注意していないと見逃してしまいます。
疥癬は忘れた頃にやってくる。
常に頭の片隅に置いておく必要があります。
疥癬の診断法は疥癬虫や虫卵を皮膚から直接検出することです。
ところが必ず見つかるわけではありません。
疥癬虫の寄生数は、多くの症例で1〜5匹と少数であるためです(衛生動物 43(2): 117, 1992)。
それでは実際の検出率はどれくらいなのでしょうか。
いくつかの論文を見てみましょう。
ある論文では、137人に検査を行い陽性は81人(検出率60%)と報告されています。
臨床皮膚科33(2), 155, 1979. (NAID)40003792984
また別の論文では、57人に対して検査を行い陽性は39人(検出率68%)と報告されています。
このように検査の感度は60~70%程度のようです。
一度陰性であっても安心せず、複数回の検査を行う必要があります。
しかし最近はダーモスコピーで確認する方法が確立してきています。
ダーモスコピーを併用すると、検出感度が47%から84%に上昇したという報告があります。
(Ann Dermatol. 24(2): 194, 2012 PMID: 22577271)
これからは検出率は上がってくるかもしれません。