皮膚科の豆知識ブログ

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梅毒の検査が変わった

最近梅毒の検査法が変わっています(用手法→自動化法)。

それに伴っていくつかの変化があり、教科書の記載内容が古くなっています。

そのため知識をアップデートしておく必要があります。

 

まず治療効果判定が「RPR 1/4以下」から「RPR半分以下」に変更されていることに注意です。

梅毒診療ガイド2018

【治療効果判定】

<旧検査法(倍数希釈)>
RPRが1/4以下に低下

<新検査法(自動化法)>
RPRが半分以下に低下

 

次に誰もが知っている梅毒検査解釈の表があります。

しかし新しい検査法では解釈に注意が必要です。

日本性感染症学会誌29(1): 53, 2018

【陽性になる順番】

<旧検査法(倍数希釈)>
RPR→ TP抗体(TPHA)

<新検査法(自動化法)>
TP抗体(TPLA)→RPR

 

新検査法ではTP抗体の方が先に陽性になることが多いようです。

そのため1期梅毒でTP抗体のみ陽性(RPR陰性)の症例が増加しています(25%程度)。

【1期梅毒の抗体検査】

・RPR、TP抗体陰性:6%
・TP抗体のみ陽性:25%
・RPR、TP抗体陽性:69%

 

表ではSTS陰性、TP抗体陽性は「梅毒治癒後」となっていますが、新しい検査法では「感染後早期」の可能性があります。

STS

TP抗原系

結果の解釈

非梅毒

生物学的偽陽性

梅毒

梅毒初期、梅毒治癒後

 

国立感染症研究所のホームページにもその旨が記載されています。

従来の希釈倍率法では梅毒感染初期において, まず, RPRが陽性を示すようになり, その後TP抗原法も陽性を示すとされてきた。しかし, 自動化法ではTP抗原法の方が先に陽性を示すこともあり, 検査結果の解釈に注意を要する。