前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。
前回、紅斑のみかたの原則を解説しました。
・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹)
・表面がツルツル:真皮の病変(薬疹)
しかし原則には例外があります。
今回は例外の中から、表面がツルツルではない薬疹について取り上げてみます。
重症薬疹
重症薬疹のTENは国家試験でもよく出題されているようです。
TENの写真を見てみましょう。
薬疹なのに表面がツルツルではありません。
これはなぜなのでしょうか。
実はTENの皮疹も真皮から始まるので、最初は表面がツルツルしています。
ところが炎症が強いために表皮まで病変が拡大し、表皮が壊死します。
すると水疱を形成し、びらんになってしまうのです。
以下の薬疹の写真は、一見表面がツルツルの紅斑です。
しかしよく見ると、一部に水疱を形成しているのがわかります。
つまりTENに進行しつつあるということです。
水疱、びらんが体表面積の30%を超えるとTENの診断となります。
まとめ
薬疹の進行のしかたは以下の通りです。
表面がツルツルの紅斑(通常薬疹)→口腔粘膜疹(スティーブンス・ジョンソン症候群)→全身のびらん(TEN)
このように本来ツルツルのはずの紅斑が、ツルツルではなくなったときには注意が必要なのです。
次回は薬疹以外の表面がツルツルの病変について解説します。
つづく