皮膚科の豆知識ブログ

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【医師国家試験皮膚科領域③】臨床で役立つ解説-蕁麻疹とウイルス感染症

前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。

 

第1回で紅斑のみかたの原則を解説しました。

(まだ見ていない方は第1回から御覧ください>>医師国家試験皮膚科領域①

 

・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹)

・表面がツルツル:真皮の病変(薬疹)

 

しかし原則には例外があります。

今回は薬疹以外の表面がツルツルの病変について取りあげてみます。

 

薬疹以外の表面ツルツル紅斑

紅斑の表面がツルツルしている場合、病変は真皮に存在しています。

これは原因物質が体の中からやってきた内因性の皮疹であることを表しています。

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代表的な原因は薬剤ですが、それ以外にはどんなものが考えられるでしょうか。

血流に乗って原因物質がやってくるものとして以下のものが挙げられます。

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蕁麻疹は食物などによる内因性の皮疹です。

また麻疹などのウイルスも感染後、血流に乗って皮膚に到達します。

そして膠原病では自己抗体などによる内因性の機序で皮疹を形成します。

 

表面がツルツルの紅斑の原因

・薬疹

・蕁麻疹

・ウイルス感染症

・膠原病

 

具体的に見ていきましょう。

 

①蕁麻疹

蕁麻疹の皮疹も表面がツルツルです。

医師国家試験蕁麻疹の図

蕁麻疹の皮疹は浮腫を伴う紅斑で「膨疹」と呼ばれます。

薬疹より隆起が強いのが特徴です。

医師国家試験膨疹の図

ただし臨床現場では見分けがつきにくいことも多いです。

見分けるポイントは皮疹の持続時間です。

蕁麻疹は数時間で消えますが、薬疹などは1日以上持続します。

 

②ウイルス感染症

原因物質が薬剤であってもウイルスであっても、皮膚では同じような免疫反応が起こります。

そのため全身性のウイルス感染症でも、表面がツルツルの紅斑を生じるのです。

Aは麻疹、Bは伝染性単核球症の皮疹ですが、違いは分かるでしょうか?

ウイルス性発疹症の鑑別の図

見た目の違いはほとんどなく、皮疹から原因ウイルス(麻疹、風疹、伝染性単核球症、突発性発疹など)を特定することはほぼ不可能です。

 

表面がツルツルの紅斑は、薬歴や病歴などを加味して総合的に判断する必要があるのです。

さらに薬疹とウイルス感染症を見分けることも困難で、いつも苦労させられています。

 

まとめ

今回は蕁麻疹とウイルス感染症について解説しました。

次回は膠原病の皮疹を取りあげる予定です。

つづく