前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。
第1回で紅斑のみかたの原則を紹介しました。
(第1回はこちら>>医師国家試験皮膚科領域①)
・表面がザラザラ:表皮の病変
・表面がツルツル:真皮の病変
この原則に基づいて感染症の皮疹について解説していきます。
細菌感染症の皮疹
まず細菌感染症について考えてみます。
皮膚の細菌感染症は感染部位によって2つに分類されています。
- 表在性皮膚感染症
- 深在性皮膚感染症
細菌が表皮に感染した場合、皮膚の表面の変化を伴います。
一方真皮以下に感染した場合は、皮膚の表面の変化はなくツルツルしています。
伝染性膿痂疹は表在性感染症の代表例で表面の変化を伴います。
一方、丹毒は真皮の細菌感染症なので表面はツルツルしています。
丹毒の皮疹と膠原病の皮疹は、ともに真皮の炎症なのでそっくりです。
(SLEの皮疹)
ウイルス感染症の皮疹
次にウイルス感染症の皮疹について考えてみましょう。
第3回で解説したように、ウイルス感染症の皮疹は内因性なので、基本的には真皮に病変を形成します(第3回はこちら>>医師国家試験皮膚科領域③)
そのため皮疹は薬疹と見分けがつきません。
(麻疹の皮疹)
(薬疹の皮疹)
しかしヘルペスや手足口病などの一部のウイルスは表皮で増殖するため、皮膚表面の変化を生じます。
口唇ヘルペスの皮疹
手足口病の皮疹
このように見た目の違いによって、病原体の感染部位を推測することができます。
まとめ
今回は感染症の皮疹について解説しました。
これまで説明してきたように、皮疹の見た目は病態を反映しています。
直接、国家試験には役に立たないかもしれませんが、実臨床で皮疹を見る際に役立つと思います。
ぜひ表面の性状に注目して皮疹を観察してみてください。