皮膚科の豆知識ブログ

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爪白癬の治療は内服か外用か?

これまで爪白癬には外用薬が効かないので、内服薬を使用する必要がありました。

ところが最近爪白癬に効果がある外用薬が発売され、内服薬を使用しないケースが増えています。

それでは外用薬の効果はいったいどれくらいなのでしょうか。

臨床試験の結果を見てみましょう。

【内服薬の治癒率】
ラミシール(6ヶ月):54.7%
Progress in Medicine. 29(3): 873, 2009

【外用薬の治癒率】
クレナフィン(12ヶ月):19.6%
西日本皮膚科. 82(2): 103, 2020

 

直接比較はできませんが、内服薬と比べて内服薬の治癒率はかなり低く、効果は高くないと言わざるを得ません。

 

さらに治療継続率の問題もあります。

外用抗真菌薬は1年以上継続する必要がありますが、治療継続率を調べた論文を見てみましょう。

日臨皮会誌. 34(6): 742, 2017

【爪白癬の外用治療継続率】

・1ヶ月後:57%
・3ヶ月後:42%
・6ヶ月後:27%

 

このように外用薬の継続率は低く、自覚症状がない爪白癬に対して1年間外用を続けられる人はほとんどいないと言ってよいでしょう。

爪白癬の治療はなるべく内服薬を使用したほうがよさそうです。