足白癬に対して、外用抗真菌薬はどうやって使い分ければよいのでしょうか。
選択基準は①効果と②系統の2つです。
①効果
臨床効果を比較した試験は少なく、薬剤間の優劣を示すことは難しいとされています。
しかし処方には何かしらのデータの裏付けが欲しいものです。
そこでin vitroのデータ、最小発育阻止濃度(MIC)をもとに外用薬を使い分けています。
MICは菌の増殖を阻止するのに必要な最小の薬剤濃度です。
MICが小さいということは、低い濃度で菌の増殖を抑制するということ。つまり抗菌活性が高いことを意味しています。
白癬菌に対するMICを見てみましょう。
日皮会誌117(2): 149, 2007
【幾何平均MIC(μg/ml)】
<アリルアミン系>
・テルビナフィン(ラミシール):0.0062
<チオカルバミン酸系>
・リラナフタート(ゼフナート):0.0097
<イミダゾール系>
・ラノコナゾール(アスタット):0.0009
・ルリコナゾール(ルリコン):0.0005
・ビホナゾール(マイコスポール):0.14
・ケトコナゾール(ニゾラール):0.14
白癬菌に有効なのはラミシール、ゼフナート、アスタット、ルリコンの4薬剤のようです。
MICをもとにして白癬菌に対する抗菌力を表にしてみると以下のようになります。
②系統
もう一つの選択基準は薬剤の系統です。
外用抗真菌薬は接触皮膚炎を起こすことがあります。
最も古くから使用されているイミダゾール系薬剤は、種類が多く市販薬にも配合されています。
そのため頻繁に使用されていて、接触皮膚炎の頻度は高と考えられます。
そしてイミダゾール系に感作されていた場合、同系統の抗真菌薬の間では60%程度の確率で交叉感作が起こります(日本医科大学雑誌 63(5): 356 1996)。
つまり新しく処方した薬剤に対しても皮膚炎が生じる可能性があるということです。
イミダゾールとは系統の異なる抗真菌薬も採用しておくとよいでしょう。