皮膚科の豆知識ブログ

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白癬は視診で診断するべからず

皮膚真菌症は見た目だけで診断できるのでしょうか。

それを調べた報告があります。

Fam Pract. 16(6): 611, 1999  PMID: 10625138

 

皮膚科クリニックを受診した紅斑を有する患者148人に対して臨床診断を行った後に、真菌培養が行われました。

視診による皮膚真菌症の診断

・感度81%
・特異度45%
(陽性適中率:24%)

 

陽性的中率はわずか24%。視診で診断した症例の7割が真菌症ではなかったという結果になっています。

やはり直接鏡検は欠かせません。

 

特に足白癬と湿疹を見た目で区別するのは困難です。

「水虫」の主訴で受診する患者の約3割が足白癬ではなく、そのほとんどが湿疹だったという報告があります。

日本皮膚科学会雑誌105(3): 483, 1995

水虫を主訴に受診した患者(837人)の最終診断

・白癬:67.1%
・湿疹:24.5%
・その他:8.4%

 

このように白癬の診断には注意が必要です。