成人のパルボウイルス感染症に出会うことは意外と多いです。
そのほとんどが「あるかないか分からないくらいの皮疹と手足の腫れ、倦怠感」という症状。
臨床症状がパッとしないため、診断が難しい疾患です。
リウマチ因子や抗核抗体が陽性化することも、診断を迷わせる要因になります。
そんなとき診断基準が役に立ちます。
感染症学会誌 83: 45, 2009 (NAID)10024803328
1. 炎症反応低値
2. 短期間出現する皮疹(顔面は稀)
3. 四肢の関節痛、筋肉痛
4. 四肢の浮腫(特に指先)
5. 患児との接触
6. 感冒症状
7. 補体価正常~低値
8. リウマチ因子、抗核抗体陽性
【①+その他3項目以上】⇒感度100%, 特異度88.9%
診断基準を満たす症例で抗体検査を行うようにすれば、無駄がないと思います。
また成人パルボウイルス感染症でやっかいなのは、症状消退まで時間がかかるということです。
感染症学会誌 83(1): 45, 2009 (NAID)10024803328
【症状消退までの期間】
・1週間以内:26.7%
・1~3週間:53.3%
・3週間以上:20.0%
倦怠感が3週間以上続くことがあります。
また感冒症状や関節痛が1ヶ月以上遷延した場合は、慢性疲労症候群の診断基準を満たします。
治療法のない疾患なので、あらかじめ臨床経過を説明しておかなければ「治療を何もしてもらってないし、治らない」と不信感を抱かれかねないため注意が必要です。