水いぼ(伝染性軟属腫)に対しては摘除が有効ですが、痛みや出血を伴うのが欠点です。
子供に多い疾患なので苦労します。
他に痛くない治療法はないのでしょうか。
皮膚科医へのアンケートによると、摘除以外にも様々な治療が行われているようです。
日本臨床皮膚科医会雑誌29(3): 396, 2012
【摘除以外の治療法】
1 凍結療法:31%
2 ヨクイニンエキス内服:26%
3 イソジン塗布:26%
4 スピール膏:14%
凍結療法
まず液体窒素による凍結療法の治療効果について見てみましょう。
Pediatr Dermatol.27(4): 388, 2010 PMID: 19804497
【治癒率(週1回治療)】
・3週間:73%
・6週間:100%
凍結療法の治療効果は比較的高そうです。
ただし摘除ほどではありませんが、痛みを伴うのが欠点です。
ヨクイニンエキス内服
次にヨクイニンエキスの効果はどうでしょうか。
皮膚 29(4): 762, 1987 (NAID)130005059956
【改善率】
・4週:16.5%(プラセボ:7.9%)
・8週:28.7%(プラセボ:28.6%)
・12週:40.5%(プラセボ:41.5%)
4週時点ではプラセボよりも改善率は高い傾向にあるものの、有意差はなかったようです。
8週、12週後には改善率はプラセボと変わりません。
痛みがない治療法ですが、有効性のエビデンスは乏しいようです。
イソジン・スピール膏
次にイソジン、スピール膏はどうでしょうか。
Int J Dermatol. 29(6): 443, 1990 PMID: 2397974
【治癒率(治癒期間)】
・イソジン塗布:60%(12週)
・スピール膏:70%(7週)
・イソジン+スピール膏:100%(4週)
イソジンとスピール膏の併用が、単独と比べて効果が高いようです。
ただこの論文ではイソジン単独、スピール膏単独の治療が有効なのかはわかりません。
まとめ
凍結療法は有効性が高いようですが、痛みを伴います。
ヨクイニンエキス内服や、イソジン、スピール膏は痛みはありませんが、有効性のエビデンスは乏しいようです。
それぞれ一長一短があり、状況に応じて使い分ける必要がありそうです。