皮膚科の豆知識ブログ

日々の小さな疑問を解決する論文を紹介。講演、お仕事の依頼は「お問い合わせ」からお願いします。

凍結療法以外のイボの治療法は?

足底のイボは難治です。

第一選択の凍結療法が効かなかったときは、どんな治療法があるのでしょうか。

皮膚科医へのアンケート調査を見てみましょう。

Visual Dermatology 9(3): 272, 2010

【第二選択の治療法】

1 活性化ビタミンD3外用:37%
2 ヨクイニンエキス内服:25%
3 サリチル酸(スピール膏)外用:17%

 

活性化ビタミンD、ヨクイニン、スピール膏の3つが頻度の高い治療法のようです。

それではこれらの治療のガイドラインの推奨度はどうでしょうか。

日本皮膚科学会雑誌 129(6), 1265, 2019

【推奨度】

A:サリチル酸外用 
B:ヨクイニンエキス内服 
C1:活性化ビタミンD3外用 

(A:行うよう強く勧められる、B:行うよう勧められる、C1:行うことを考慮してもよい)

 

推奨度が高いのはサリチル酸外用です。

サリチル酸にはきちんとしたエビデンスがあり、メタアナリシスでも凍結療法と同等の効果が示されています。

Cochrane Database Syst Rev. 12;(9): CD001781, 2012

(PMID: 22972052)

Cryotherapy vs salicylic acid , Outcome 1 Cure rate all sites.

RR 1.23, 95% CI 0.88 to 1.71

 

一方、ヨクイニンと活性化ビタミンDにはしっかりとしたエビデンスがありません。

ただし副作用の少ない使いやすい薬剤なので、凍結療法やサリチル酸と組み合わせて使用するのがよいでしょう。