皮膚科の豆知識ブログ

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再発抑制療法はいつまで続けたらいいですか?

年6回以上再発する性器ヘルペスでは再発抑制療法が適応になります。

治療期間の目安は1年とされていて、添付文書には「本剤を1年間投与後、投与継続の必要性について検討することが推奨される」と記載されています。

それでは再発抑制療法を中止したらどうなるのでしょうか。

 

再発抑制療法を50日間行い、治療中と治療終了後のウイルス排泄量を調べた論文があります。

(J Infect Dis. 190(8): 1374, 2004 PMID: 15378428)

 

この報告によると、治療中はウイルス排泄量は減少しますが、抗ウイルス薬を中止すると、すぐに治療前の量に戻ってしまうようです。

 

基本的に再発抑制療法を中止すると、もとに戻ってしまうと考えたほうがよさそうです。

 

しかし1年以上治療をつづけると、予防効果が持続する可能性もあります。

アシクロビルを用いた再発抑制療法を2年間行った患者23人の、治療終了後の経過を見た論文があります。

臨床皮膚科 56(5): 118, 2002 (NAID)40020003736

【年間再発回数】

・治療前:11.1回
・治療終了後1年目:3.5回
・治療終了後2年目:3.3回
・治療終了後3年目:2.5回

 

このように2年間治療を行った場合、中止後も予防効果が持続しています。

治療継続は2年程度を目安にするとよいかもしれません。