皮膚科の豆知識ブログ

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ヘルペスの治療はどれくらい早く始めればいいのか?

抗ウイルス薬を使う上で重要なポイントは、殺菌作用はなく静菌作用を持つ薬だということです。

ウイルスの増殖を抑制するだけなので、ウイルスの増殖が終わった後に投与しても意味がありません。

そのため発症後すぐに投与を開始する必要があります。

 

それではどれくらい早く投与を始めればよいのでしょうか。

まず単純ヘルペスでは皮疹出現から24時間以内の投与が推奨されています。

CDCガイドライン2015(PMID: 26042815)

Effective episodic treatment of recurrent herpes requires initiation of therapy within 1 day of lesion onset.

 

一方、帯状疱疹では皮疹出現から72時間以内の投与が推奨されています。

N Engl J Med. 369(3): 255, 2013(PMID: 23863052)

Controlled trials have initiated treatment within 72 hours of onset of the rash, and treatment is recommended to start within this interval and as early as possible.

 

ただし帯状疱疹の72時間以内というのは、ウイルス学的に証明された数値ではないようです。

そのため72時間以降でも、皮疹の新生が続いている場合は投与を行います。

Many experts recommend that if new skin lesions are still appearing or complications of herpes zoster are present, treatment should be initiated even if the rash began more than 3 days prior.

 

それでは皮疹が出る前から投与を開始したほうがいいのでしょうか。

次の記事で解説します。

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