単純ヘルペスと帯状疱疹は、ともにヘルペスウイルスによって起こる疾患です。
しかし臨床症状には違いがあり、帯状疱疹では強い痛みを伴います。
この違いはなぜ生じるのでしょうか。
ヘルペスウイルスは感覚神経節の神経細胞に潜在感染しています。
宿主の免疫能が低下した際にウイルスは活性化し、神経を通って皮膚へ到達し病変を形成します。
しかし皮膚へ到達するまでの過程が単純ヘルペスと帯状疱疹では異なっているのです。
臨床と微生物 40(1): 29, 2013
単純ヘルペスは神経線維の軸索内を通って皮膚に達します。
一方帯状疱疹は、軸索の周りの髄鞘を通り、髄鞘を破壊しながら皮膚に達します。
帯状疱疹では神経損傷が起こっているため、単純ヘルペスよりも強い痛みを伴うのです。
さらに強い炎症が起こり皮疹も重篤になります。
皮膚へ到達するまでの過程の違いが、単純ヘルペスと帯状疱疹の様々な違いを生み出しています。
ところが抗ウイルス薬の投与量の違いに関しては、また別の理由があります。