今回から、いろいろな医学書を読んで感じている皮膚科教科書に関する雑感を書きたいと思います。
全3回の予定です。
初回は対話形式の医学書です。
対話形式の教科書
最近よく見るのが指導医と研修医(や学生)との対話形式の医学書です。
ケーススタディが紙上で再現されています。
症例をもとに診断の具体的な考え方や、つまずきやすいポイントなどが解説されており、わかりやすいのが特徴です。
医学書だけではなく、様々な分野の本でこの形式がとられています。
たとえばベストセラーの会計本も対話形式になっています。
しかし皮膚科の分野では対話形式は少ないようです。
皮膚科診断は視覚情報に頼る部分が多いので、写真がたくさん並べられているだけで解説がほとんどない「見た目一発診断」のような本がほとんどです。
写真に頼らない教科書
ですが写真に頼らないというコンセプトの医学書は存在しています。
臨床写真が一切なく、視覚情報に頼らずにキーワードから診断に迫るというチャレンジングな本になっています。
ただそのコンセプトはとても良いのですが、解説がややわかりにくく、とっつきにくいのが難点です。
対話形式で解説するような構成であれば、初心者向けによかったかもしれません。
対話と解説のバランス
対話形式の医学書にも欠点があります。
それは対話だけでは情報量が少なくなってしまう点です。
そのため対話と解説のバランスも重要です。
外科手技について書かれたこちらの本は読みやすいのですが、ほぼ対話のみで構成されています。
もっと解説を充実させてほしかったという印象です。
というわけで、対話と解説のバランスが考慮された皮膚科の医学書があれば…と思っています。
つづく
次回は通読型の医学書についての雑感