皮膚科の医学書に関する雑感を書くシリーズ。
今回は全3回中の3回目。
エビデンス型の医学書についてです。
▼前回の記事▼
エビデンス型の医学書
臨床の基礎が固まりマニュアル通りの診療がこなせるようになったら、次の段階に進む時期が来ます。
自分がやっている治療や検査にはどんな裏付けがあるのか。つまりエビデンスを知る必要があるのです。
エビデンスというと、ただの雑学的なつまらないものになりがちです。
しかしエビデンスを具体的に臨床応用していく方法かわかれば、大きな武器になります。
そんな実践的な形でエビデンスを紹介してくれる医学書の代表は「ステップビヨンドレジデント」でしょう。
救急の現場で犯しやすいミスを例に、最新の論文を交えて救急外来のセオリーを紹介していく形式になっています。
読み物としての面白さに重点が置かれていて、ポップで読みやすいのも特徴です。
また「寄り道呼吸器診療」も日常の疑問に答えるエビデンスを紹介する興味深い医学書です。
いかにして机上の学問と臨床をつなげるのか。
教科書に書かれていないような疑問に出会ったとき、「エビデンスはあるのだろうか?」と寄り道することの重要性を知ることができます。
エビデンスの辞書
そしてエビデンスの使いかたが分かると、エビデンスをまとめた教科書の有用性が高まります。
「内科診断リファランス」は病歴、身体所見、検査などの具体的な数値が大量に掲載されたエビデンスの辞書とも言える教科書です。
しかし皮膚科の分野では、これらのような本は少ないようです。
皮膚科のエビデンス型の医学書
皮膚科のEBMを集めた本はありますが、既存の薬の有効性を示したものばかりで製薬会社の説明会のような内容です。
身近な疑問に答えるような本はないようです。
皮膚科の領域でもエビデンスをまとめた医学書を読んでみたいと思っています。
まとめ
3回にわたって皮膚科の医学書に関する雑感を書いてきました。
各分野で優れた医学書が発売されていますが、皮膚科分野はまだまだ発展途上だと思います。
今後もっと良い皮膚科の本が出てきて欲しいですね。