膿瘍の治療の基本は切開排膿です。
しかし切開には時間がかかり、その後も処置が必要になってしまいます。
そのため外来が忙しい時は躊躇する場合もあります。
一方、穿刺吸引は短時間で終わり、その後の処置が必要ないのが長所です。
それでは穿刺吸引のみで膿瘍の治療を行うことはできるのでしょうか。
論文を見てみましょう。
Ann Emerg Med. 57(5): 483, 2011 PMID: 21239082
膿瘍に対して切開排膿を行った54例と穿刺吸引を行った47例で、1週間後の治療失敗率が調査されています。
【治療失敗率】
・切開排膿:20%
・穿刺吸引:74%
両群間の差(95% CI): 54%(35-69)
このように穿刺吸引は切開排膿に比べて治療の失敗率が高いようです。
穿刺吸引を試みて最初はうまくいったとしても、後に切開が必要になる可能性があることを患者に伝えておく必要があるでしょう。