皮膚科の豆知識ブログ

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蜂窩織炎の抗菌薬は添付文書通りでいいですか?

添付文書に記載されている抗菌薬の用量は、海外と比較して少なく設定されています。

そのため蜂窩織炎に対して抗菌薬の効果が乏しい場合、投与量が少ないことが原因の可能性もあります。

 

米国感染症学会(IDSA)のガイドラインの推奨量と添付文書の常用量を比較してみましょう。

Clin Infect Dis. 59(2): e10, 2014 PMID: 24973422

 

 

 

添付文書

(常用量)

IDSAガイドライン

内服薬

CEX

1回250mg

を1日4回

1回500mg

を1日4回

AMPC

/CVA

1回250/125mg

を1日3回

1回875/125mg

を1日2回

注射薬

CEZ

1回0.5g

を1日2回

1回1.0g

を1日3回

ABPC

/SBT

1回1.5-3.0g

を1日2回

1回1.5–3.0g

を1日3-4回

CEX:セファレキシン
AMPC/CVA:アモキシシリン/クラブラン酸
CEZ:セファゾリン
ABPC/SBT:アンピシリン/スルバクタム

 

このように添付文書の常用量は少ないため、なるべく海外に近い量で投与することが重要です。

 

CEX、CEZ、ABPC/SBTは海外の用量まで増量が可能です。

 

ところが日本のAMPC/CVA(オーグメンチン)は、1錠あたりのアモキシシリンの配合量が少ないことが問題になります。

添付文書の用量では1日750/375mg 、増量しても1000/500mgで、アモキシシリンが大幅に不足してしまいます(海外は1750/250mg)。

 

そこでAMPC/CVA(オーグメンチン)にAMPC(サワシリン)を加え、海外に近い用量に調整する投与法が行われています。

この方法は俗に「オグサワ」(オーグメンチン+サワシリン)と呼ばれます。

 

投与法

AMPC/CVA

の1日量

オーグメンチン1錠+サワシリン2錠を1日2回

1500/250mg

オーグメンチン1錠+サワシリン1錠を1日3回

1500/375mg