前回のつづき
今回は私が行った書籍のプロモーションとその成果をまとめてみます。
- 1. 発売前
- 2. 発売直後
- 3. 発売から1~2ヶ月(1~2月)
- 4. 発売から3~4ヶ月(3~4月)
- 5. 発売から5~6ヶ月(5~6月)
- 6. 発売から7~9ヶ月(7月~9月)
- 7. 発売から10ヶ月~1年(10月~12月)
1. 発売前
SNSでの発売前の話題作りは必須です。
プロモーション用のTwitterアカウントを発売の約1年前に作成しました。
Twitterアカウントを作りました。皮膚科の豆知識を紹介するブログの更新情報をツイートします。https://t.co/4KOS90ZzaX
— 皮膚科医Alex@医学書出版しました (@alex_hifuka) 2021年1月3日
目標はフォロワー数4桁。
医学ネタのツイートを毎日行い、フォロワー獲得に努めました。
(最近はTwitterのアルゴリズムが変わって、医学ネタではフォロワーを伸ばしにくくなってきています)
アカウント作成は2021年1月。
最初は苦戦しましたが5月にフォロワー500人、10月にフォロワー1000人に到達。ギリギリで目標達成です。

さらに個人的に重要と考えているのは、出版社やネット書店の商品ページです。
一般書の場合、ネット上で試し読みができるものがほとんどで、購入前に内容を確認することができます。
ところが医学書はサンプルページがないものが多く、実際に書店で見るまでは内容がわかりません。
仮に発売前の話題作りがうまくいったとしても、本の内容がわからなければ予約や購入にはつながらないでしょう。
そこで出版社にお願いして、アマゾンの商品ページにサンプルを掲載していただきました。

また出版社のホームページには試し読みページがありましたが、ランダムなページがバラバラに掲載されているだけでした。
それでは内容がわからず購入につながりません。
そこで第1章をほぼ全部読めるように変更してもらいました。
これで「商品ページ→内容確認→予約・購入」という導線が完成。
12月9日のアマゾンの予約開始に合わせてSNSで告知を行います。

このツイートがインプレッション7万以上とかなり拡散されました。

ツイートのリンクから商品ページを閲覧していただいた方も多かったようです(リンクのクリック数451)。
商品ページにこだわった結果でしょうか。
多くの方に予約していただき、発売前の段階でアマゾンランキング1位を獲得することができました。

1年近く前から準備してきた甲斐がありましたね。
ここからダメ押しの発売予告ツイートを毎日行っていきます。
100日後に初出版する皮膚科医
— 皮膚科医Alex@医学書出版しました (@alex_hifuka) 2021年12月26日
99日目
見本が届きました!
いよいよ明日が発売日。みなさん書店で見かけたら教えて下さい! pic.twitter.com/Z3ZRV7NgYt
2. 発売直後
そしていよいよむかえた発売日。
発売直後、紀伊國屋新宿本店様の週間売り上げランキング1位を獲得することができました。
【週間ベスト】先週の週間ベストはこちら☞🥇医学書院『誰も教えてくれなかった皮疹の診かた•考えかた』🥈文光堂『糖尿病治療ガイド2020-2021』🥉メディカ出版『心電図検定公式問題集&ガイド』4位は協和企画『喘息診療実践ガイドライン2021』5位は医学書院『Pocket Drugs 2022』でした!また来週🌷mk pic.twitter.com/BH9mPhLzt6
— 紀伊國屋書店新宿医書センター (@Kino_Medical) January 3, 2022
懸念していたリアル書店での売れ行きも好調です。
これは話題作りに成功した結果と言ってよいでしょう。
また書店での売上のカギを握るのは「陳列」です。
カバーが見えるように平積みになっているかどうかで売上が大きく変わるそうです。
これに関しては「大手出版社の新刊」ということで問題ありませんでした。
出版社に感謝ですね。

3. 発売から1~2ヶ月(1~2月)
発売後1か月。この辺りからようやく出版社のプロモーションが始まります。
まず1月21日から4回にわたって医学界新聞さんのWeb限定記事で取り上げていただきました。
この記事がきっかけで購入してくださった方もいたようです。
そして2月の段階で重版が決定。
当初の目標をわずか2か月で達成することができました。
4. 発売から3~4ヶ月(3~4月)
ここまではWebをあまり見ない層にはリーチできていませんでした。
そこで出版社が広告媒体を持っているのが大変な強みになります。
まず週刊医学界新聞の4月4日号(第3464号)、4月11日号(第3465号)に書評が掲載。
書評を見て購入してくださった方もおり、紙媒体の強さを再認識しました。
さらに医学書院様の発行する数多くの雑誌にも書評が掲載されました。
臨床泌尿器科76巻 5号 (2022年4月)
臨床泌尿器科76巻 6号 (2022年5月)
総合診療 32巻5号 (2022年5月)
臨床検査 66巻 5号 (2022年05月)
検査と技術50巻 6号 (2022年6月)
medicina59巻 7号 (2022年6月)
臨床皮膚科 76巻 7号(2022年06)
皮膚科の教科書の書評は皮膚科医に依頼するのが一般的だと思います。
しかし今回は研修医や皮膚科医以外の医師を対象にしています。
そこで今回、出版社にお願いして、高名な内科医である野口善令先生と國松淳和先生から書評をいただくことができました。
このように一般の認知度の高い先生方に書評をいただけたことが、売上に大きく影響しているように思います。
このあたりは大手出版社の強みと言えますね。
さらに3月~4月にかけて、少しずつSNSでも話題になってきました。
拝読しました。
— ほむほむ@アレルギー専門医:『小児のギモンとエビデンス』重版決定 (@ped_allergy) March 5, 2022
昔、ケアネットで『平本式 皮膚科虎の巻』という番組があり、目からウロコでそれまで皮膚疾患は病歴+パターン認識と思っていたところに『診断推論』を加えることができました。
その診断推論をぐっと推し進めた本です。役立ちます。おすすめ。https://t.co/TMtCoCFHW5
この本,非常に素晴らしいですね。
— Shungo Y (@bizarreID) April 15, 2022
何よりいいと思ったのは,「中毒疹」とは何かを解説してくれている点でした。
ーー
誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた[Web動画付] 松田 光弘 https://t.co/T0eOI7TIux @amazonJPより
フォロワーの多い著名な先生方にも取り上げていただき、アマゾンでの売り上げも好調です。
ウワサ通り、インフルエンサーのプロモーション効果は大きいですね。
ところが増刷が間に合わずに3月末にネット書店の在庫が欠品に…。
総合順位1000位前後をキープしていたアマゾンランキングも大きく下がってしまいました。
幸い1週間程度で在庫は復活して順位は戻り、それ以降は上位をキープできています。

そして4月中旬、嬉しいことに2度目の重版が決定しました。
5. 発売から5~6ヶ月(5~6月)
書店での売上も引き続き好調です。
紀伊國屋新宿本店様で3月8日~5月8日に行われた研修医フェア2022では、売上第14位を獲得しています。
第14位『誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた[Web動画付]』(医学書院)1月発売当初からずっと人気!研修医フェアの棚からもよく売れていました。症例問題を解説したWeb動画が付録で学びやすい!税込4,400円 pic.twitter.com/Q8PBL8W28L
— 紀伊國屋書店新宿医書センター (@Kino_Medical) May 21, 2022
6月11日〜12日に開催された「第13回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会」では売上第4位。
④位『誰も教えてくれなかった 皮疹の診かた・考えかた』医学書院⑤位『高血圧診療ガイド 2020』文光堂でした✨
— 紀伊國屋書店新宿医書センター (@Kino_Medical) June 12, 2022
本日14:30まで出店中です😉mk pic.twitter.com/U4jyxX8TIF
さらにSNSで大変有名なヤンデル先生こと市原真先生が「レジデントノート」の連載で書籍を取り上げてくださいました。
この影響力は絶大でした。
6. 発売から7~9ヶ月(7月~9月)
発売から半年をすぎると、さすがに売れ行きは鈍ってきます。
書店でも平積みではなく棚刺しになってしまっています。

また6月までは総合順位1000位前後をキープしていたアマゾンランキングも安定感がなくなり、7月以降は5000位を切ってしまう日も出てきます。
(皮膚科売上2位が5000位前後)

とはいえ7月末には3度目の重版が決定。
4刷までいけばベストセラーと言ってよいのではないでしょうか。
7. 発売から10ヶ月~1年(10月~12月)
低調ながらもアマゾンランキング皮膚科部門1位をキープしていましたが10月に黒船襲来。
Twitterフォロワー4万人を誇るインフルエンサー大塚篤司先生の新刊です。
アマゾン総合ランキング180位(私の書籍の最高順位は488位)という驚異の売上を叩き出しています。
SNSの影響力が売上に大きく影響するということが証明された形です。
今後はインフルエンサーによる医学書が増えてくるでしょうね。
この本の発売が私の書籍と被らなくて本当によかったと思います。
そして2022年を締めくくる12月。
薬剤師の先生方がおすすめの医学書を挙げる企画「#読めよ薬剤師2022」がTwitter上で開催されました。
今年も年末の企画をやりたいと思います。
— るるーしゅ (@ph_lelouch) 2022年12月18日
【2022読めよ薬剤師企画】
《企画概要》2022年に読んで「オススメ」っていう書籍を他の薬剤師にオススメする
《日時》2022年12月29日(木)21時〜
《方法》#読めよ薬剤師2022
のハッシュタグでオススメの書籍3冊をツイート(自分のブログリンク等でも可) pic.twitter.com/aWADHaiskI
そこで多くの薬剤師の先生方に紹介していただき、1万位前後だったアマゾンのランキングが急上昇しました。
薬剤師は読者として想定していなかったので正直驚きました。
思いの外、薬剤師が皮疹の相談を受ける機会は多いそうです。
(皮膚科医のいない病院では薬疹の相談が薬剤師に来る)
そのような場面でも役立てていただけているのは嬉しい限りです。
さらにジュンク堂岡島甲府店で開催された「この医学書・看護書がすごい!2022」にも選出。
読者の方だけでなく書店員様からもご評価いただけたことは大変光栄です。
【この医学書・看護書がすごい!2022】医学書院営業担当イチオシは『NHKスペシャル 人体vsウイルス 驚異の免疫ネットワーク』生物とウイルスの分かち難い関係とは?売場担当イチオシは『誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた』ザラザラかツルツルか、それ以外か。診断プロセスがわかる! pic.twitter.com/vLrh3poUJa
— ジュンク堂書店&丸善/岡島甲府店 (@okajun_koufu) 2022年12月13日
出版前は増刷を目標にしていましたが、1年間で3回も増刷がかかり驚くばかりです。
・第1刷:1月1日
・第2刷:3月15日
・第3刷:6月1日
・第4刷:9月1日
発売2年目はさらに多くの方に著書を届けられるように、いろいろな活動をしていきたいと思っています。