皮膚科の豆知識ブログ

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蕁麻疹に抗ヒスタミン薬はどれくらい効く?

蕁麻疹治療の第一選択は抗ヒスタミン薬です。

それではどれくらいの効果があるのでしょうか。

論文を見てみましょう。

臨床皮膚科. 57(5): 40, 2003 NAID: 10012879599

 

蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬の臨床試験の結果がまとめられています。

【症状が中等度以上改善した患者(2週間後)】

・アレジオン:81%
・エバステル:80%
・ジルテック:82%
・アレロック:78%
・クラリチン:81%

 

いずれの薬剤も有効率は8割程度のようです。

つまりほとんどの患者に抗ヒスタミン薬は有効と考えられます。

 

しかし薬剤の効果が乏しい患者が2割程度存在します。

その中で1割の患者は抗ヒスタミン薬が無効です。

【症状が改善しなかった患者(2週間後)】

・アレジオン:9%
・エバステル:9%
・ジルテック:7%
・アレロック:12%
・クラリチン:9%

 

そのように効果が乏しいor無効の場合は2つの選択肢があります。

 

  1. 種類の変更
  2. 増量

 

まず抗ヒスタミン薬の効果には個人差があり、特定の薬剤で高い効果が得られることがあります。

そのため一種類の薬剤で十分な効果が得られない場合でも、他の種類の抗ヒスタミン薬に変更してみる価値があります。


また抗ヒスタミン薬を増量することでも効果を期待できます。

システマティックレビューでは、標準的な用量に反応しなかった患者の約63%で、増量によって痒みが抑制されることが示されています。

Br J Dermatol. 175(6): 1153, 2016 PMID: 27237730

 

抗ヒスタミン薬の効果が乏しい場合はこれらの方法を試してみるとよいでしょう。