急性蕁麻疹はどれくらいの期間で治癒するのでしょうか。
それを調べた論文があります。
J Dermatol. 21(2): 73, 1994 PMID: 8182214
(こちらの文献に詳しい数値の記載あり:臨床医薬 17(5): 727, 2001)
急性蕁麻疹患者50人に抗ヒスタミン薬を投与し、治癒までの経過を追跡した前方研究です。
治癒までの期間
・1週間以内:70%
・2~6週間以内:24%
・6週間以上:6%
蕁麻疹は通常は1週間以内に治癒することが多いようです。このような経過を示すと患者は安心感を持てるでしょう。
とはいえ6%の患者では症状が続き慢性蕁麻疹へ移行してしまいます。
慢性蕁麻疹では数ヶ月から数年にわたって症状が続く例が多いようです。
慢性蕁麻疹患者78人を1年間追跡した前方研究では、1年以内に治癒する患者は約半数と報告されています。
J Am Acad Dermatol. 45(3): 387, 2001 PMID: 11511835
1年以内に治癒した慢性蕁麻疹患者:47%
さらに症状が長期にわたる場合もあるようです。
慢性蕁麻疹患者139人を5年間追跡した前方研究では、約14%が5年を超えても治癒しなかったようです。
Allergy. 59(8): 869, 2004 PMID: 15230821
1年以内に治癒:25%(軽症例では32%)
2年以内に治癒:48%(軽症例では100%)
5年以内に治癒:86%
そのため慢性蕁麻疹の場合は治療目標を2段階にわけて考える必要があります。
最初の目標は、抗ヒスタミン薬の内服を継続することで皮疹の出現を完全に抑制することです。
その後、無治療で症状が現れない状態を目指します。