潰瘍治療薬は剤型によって3つに分類するとわかりやすくなります。
- 油脂性基剤(水を保つ)
- 水溶性基剤(水を減らす)
- 乳剤性基剤(水を増やす)
創部の水分の状態に応じて薬剤を使い分けるのが創傷治療の原則です。
剤型別に外用薬の違いと使いわけを解説したいと思います。
今回は水溶性基剤です。
水溶性基剤の種類
水溶性基剤の代表的な製剤は、ヨウ素を含んだユーパスタ、カデックス、ヨードコートです。
いずれも水溶性基剤で主剤はヨウ素ですが添加物が異なっています。
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主剤 |
添加物 |
ユーパスタコーワ軟膏 |
ヨウ素 |
白糖 |
カデックス軟膏 |
ヨウ素 |
ポリマービーズ |
ヨードコート軟膏 |
ヨウ素 |
CMC |
これらにはどのような違いがあるのでしょうか。
ユーパスタ、カデックス、ヨードコートの違い
ユーパスタ、カデックス、ヨードコートを比較したデータを見てみましょう。
Int J Pharm. 394(1-2): 85, 2010 PMID: 20471462
抗菌力
まず殺菌性の指標となるヨウ素の放出能が一番高いのはカデックスです。
遊離ヨウ素濃度(mM) |
|
ユーパスタ |
0.11 |
ヨードコート |
0.40 |
カデックス |
1.20 |
またカデックスは持続的にヨウ素を放出するため、長時間抗菌能が維持されるとの報告もあります。
つまり抗菌力を重視するならカデックスがよいと言えます。
吸水力
次に吸水力を見てみると、一番高いのはユーパスタのようです 。
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吸水量(mg/cm2/min0.5) |
ユーパスタ |
7.52 |
ヨードコート |
1.98 |
カデックス |
1.44 |
違いと使い分けのまとめ
まとめるとカデックスとユーパスタの使い分けは、抗菌力を重視するならカデックス、吸水力を重視するならユーパスタとなります。
私は水溶性基剤を選択する際は、吸水力を重視してユーパスタを使用することが多いです。
またユーパスタに添加されている白糖には肉芽形成を促進する効果もあるようです。
Therapeutic Research 23(8): 1625, 2002