私の著書の第4刷が発行されました。
多くの方にご購入いただき大変うれしいです。
ですが「誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた」を読んで物足りないと思った方や、もっと詳しく皮膚科診断を勉強したいと思った方もいるかもしれません。
そこで今回はネクストステップの教科書を紹介したいと思います。
皮疹の因数分解・ロジック診断
この教科書のコンセプトは「直観に頼らない論理的な皮疹の診断法」。
著者の北島康雄先生は、原発疹・続発疹の概念は実際の臨床ではあまり役に立たないと書かれています。
皮膚科のほとんどの教科書では発疹は原発疹と続発疹に分けられている。それはそれで意味はあるが、臨床現場で実際に皮疹を診る場合には意味があるとは思えない。
したがって、ここでの皮疹の分類は原発疹・続発疹の視点はあえて入れていない。
私の著書のコンセプトはこの教科書を参考にした部分があり、読者の方はスムーズに受け入れることができると思います。
私は紅斑を表面ザラザラと表面ツルツルの2つに分類しましたが、見た目ではそれ以上鑑別するのは難しいと記載しました。
しかし「皮疹の因数分解・ロジック診断」では、見た目だけでもっと詳しく鑑別する方法が述べられています。
例えば同じ湿疹の中でも、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹は病理所見が微妙に異なっています。
その違いが見た目に及ぼす影響が詳しく解説されており、この考え方をマスターできれば診断力が大きく上がると思います。
(ただ高度な内容なので私も完全にはマスターできていません…)
初学者の方には難易度が高いかもしれませんが、より詳しく勉強したい方にぜひ読んでいただきたい教科書です。
皮膚病理イラストレイテッド①炎症性疾患
著書の中でも説明しましたが、皮疹の見た目は病理組織学に基づいています。
つまり病理を学ぶことで、皮疹についてより深く理解することができるのです。
ところが一般的な皮膚病理の教科書を読んでも、その知識をどうやって皮疹の診かたに応用していいのかはわかりません。
さらに皮膚病理には「海綿状態」、「棘融解」、「液状変性」など独自の用語があり、とっつきづらいという問題もあります。
そこで「皮膚病理イラストレイテッド」が役立ちます。
この教科書はいわば皮膚病理の通読型の教科書。
従来の病理アトラスのように写真が並べられただけのものではありません。
一つ一つの所見が生じる病態が詳しく解説されており、論理的に理解する構成になっています。
この「病態から論理的に理解する」というスタイルは私の著書にも取り入れさせていただきました。
私の著書では病理の細かい解説はなるべく避けるようにしたため、詳しく知りたい方には物足りなさが残ったかもしれません。
そんな方はこの教科書で学ぶことで、「病態→病理組織→皮疹の見た目」の対応関係をより深く理解することができると思います。
まとめ
今回は2冊の教科書を紹介しました。
もっと詳しく皮膚科診断を勉強したいと思った方は、ぜひ読んでみてください。