保険で処方できる保湿剤は3種類あります。
- ワセリン(プロペト)
- ヘパリン類似物質(ヒルドイド)
- 尿素(ウレパール、パスタロンなど)
これらはどのように使い分ければよいのでしょうか。
論文を見てみましょう。
日皮会誌 121(7): 1421, 2011 NAID: 10031164973
8人の健常成人の前腕3か所に、それぞれワセリン、ヘパリン類似物質、尿素の保湿剤を外用しました。
毎日外用し、その後2週間の角質水分量が調査されています。
結果はヘパリン類似物質と尿素では無塗布と比較して角質水分量が上昇していますが、ワセリンでは有意差はありませんでした。
ワセリンは水分蒸発を防ぐことで間接的に角質の水分を増加します。
しかし保水成分は含まれておらず直接水分を与えることはできません。
そのためヘパリン類似物質や尿素と比較すると、保湿作用は劣るようです。
それではヘパリン類似物質と尿素はどちらを使用すればよいのでしょうか。
病変部に使用した場合、尿素製剤は刺激の副作用が多いという報告があるようです。
Smarting was reported by 41/63 of the participants treated with urea cream and by 26/66 of those treated with placebo cream (RR 1.65, 95% CI1.16 to 2.34; P = 0.005; 95% CI 2 to 11).
Cochrane Database Syst Rev. 2(2): CD012119, 2017 PMID: 28166390
そのため私はヘパリン類似物質を使用することが多いです。
ただしヘパリン類似物質にはクリームやローションなど様々な剤型があります。
それらの剤型の違いについて次回の記事で解説します。