前回に引き続き書籍の内容をもとにして国家試験の問題を解説していきます。
今回は第4章の内容になります。
【問題】
以下の紅斑をみたとき、注目すべき2つのポイントは何でしょう。
(110-I79)
国試問題文(抜粋)
45歳の男性.1週前から多発関節痛と両側の下肢の皮疹とが出現した.体温37.6℃.
【解説】
答え:①表面の性状、②周囲との境界
紅斑を見たときに最初に注目するのは表面の性状です。
表面の変化がなくツルツルしている場合は、病変は真皮以下に存在しています。
浅い部位(真皮)に病変がある場合は境界が明瞭で、深い部位(皮下組織)に病変がある場合は境界が不明瞭になります。
この症例は境界が不明瞭なので、病変は皮下組織にあるようです。
その場合は感染症、循環障害、自己免疫疾患の3つを考えます(関節部に病変がある場合は急性関節炎も鑑別に挙がる)。
これらの鑑別点は病変の分布です。
多発している場合は感染症(蜂窩織炎)の可能性は低く、循環障害と自己免疫を考えます。
見た目では鑑別はできず、確定診断には皮膚生検が必要です。
ただ関節痛があるので自己免疫疾患(結節性紅斑、中型血管炎)の可能性が高そうです。
つづく