皮膚科の豆知識ブログ

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皮膚真菌症の原因菌は何が多い?

内臓や血液の真菌感染症(深在性真菌症)はカンジダやアスペルギルスが多いと言われています。

それでは皮膚真菌症の原因菌は何が多いのでしょうか。

論文を見てみましょう。

Med Mycol J. 60(3): 75, 2019 PMID: 31474694

 

皮膚科を受診した皮膚真菌症患者6776人のまとめです。

・白癬菌:85.2%
・カンジダ:11.2%
・マラセチア:3.5%
・その他:0.2%

 

このようにほとんどが白癬菌で、一部はカンジダが原因になるようです。

 

それでは部位による差はあるのでしょうか。

別の論文を見てみましょう。

J Dermatol. 47(6): 615, 2020 PMID: 32293052

長崎大学で培養検査が行われた皮膚真菌症50年分(約4万例!)の統計データです。

部位別の原因菌株がまとめられています。

 

このように体や手足では95%以上が白癬菌のようです。

ただし股部や爪ではカンジダの割合が比較的多いので注意を要します。

外用抗真菌薬の中にはカンジダへの感受性が低いものがあるため、薬剤の選択は慎重に行う必要がありそうです。