手足口病は家庭内感染が少なくありません。
それではどれくらいの頻度で感染するのでしょうか。
論文を見てみましょう。
手足口病患者と同居する家族の追跡調査です。
JAMA. 291(2): 222, 2004、PMID: 14722149
対象はエンテロウイルス71型が検出された94人の手足口病患者と同居する家族です。
家族339人(小児106人、成人233人)に対して、ウイルス培養と抗体検査が行われました。
さらに8週間追跡し、感染症を疑う症状が出現した場合は再度検査が施行されています。
そしてエンテロウイルス71感染と診断された場合は、その家族に対しても検査が追加されました。
結果ですが、以下のように小児の84%、成人の37%に感染が見られています。
【家庭内感染】
・小児:89人(84%)
・成人:87人(37%)
ただしエンテロウイルス感染しても必ずしも手足口病を発症するわけではありません。
次に実際の症状について見てみましょう。
【小児感染者の症状】
・手足口病:35人(40%)
・感冒:43人(48%)
・無症候:11人(12%)
小児では感染者のうち手足口病を発症するのは40%であり、48%は感冒症状が出現するだけのようです。
また無症候性感染も見られています。
一方、成人ではどうでしょうか。
【成人感染者の症状】
・手足口病:7人(8%)
・感冒:34人(39%)
・無症候:46人(53%)
手足口病を発症するのはわずか8%となっています。
また感染者の半数が無症候で、成人は症状が出ることが少ないようです。
以上のように小児の8割が家庭内感染するため、注意する必要があるでしょう。
ただし手足口病を発症するのは全体の3割程度です。
一方、成人の感染は4割程度と少なく、手足口病を発症するのは全体の約3%のようです。
とはいえ、私の経験上、成人の手足口病も少なくありません。
もしかすると型によって発症率が違うのかもしれません。