現在、医学雑誌medicinaで皮膚科治療薬の連載を行っています。
Vol.61 No.6~7で抗ヒスタミン薬編が終了したので、その簡単なまとめを記載しておきます。
作用機序と有効な皮膚疾患
・抗ヒスタミン薬は、血管と神経のヒスタミンH1受容体を阻害して、皮疹と痒みを抑制する。
・痒みは「ヒスタミン依存性」と「ヒスタミン非依存性」の2つに分類される。
・蕁麻疹で生じるヒスタミン依存性の痒みに対しては高い効果がある。
・しかし湿疹などで生じるヒスタミン非依存性の痒みに対しては単独では効果が乏しく、ステロイド外用薬との併用で補助的に使用するのが望ましい。
薬剤の選びかた
①抗ヒスタミン薬を3つに分類する
・抗ヒスタミン薬は鎮静作用や抗コリン作用などの副作用が多い第1世代と、少ない第2世代に分類されている。
・しかし第2世代であっても製剤によって鎮静作用は大きく異なる。
・そのため脳内ヒスタミンH1受容体占拠率に基づき、薬剤を鎮静性、軽度鎮静性、非鎮静性の3つに区分することが提唱されている。
・この分類に基づき、非鎮静性の抗ヒスタミン薬を選択するのが基本となる。
②添付文書の自動車運転の記載
・さらに非鎮静性の薬剤の中でも鎮静作用には差がある。
・添付文書上、「自動車運転禁止」あるいは「注意が必要」の薬剤は眠気を訴える患者が多い傾向がある。
・筆者は自動車運転に関する記載がない薬剤を第一選択にしている。