食物アレルギーの中には、交差反応によって食物以外の原因から生じるものがあります。
今回は交差反応性の食物アレルギーを5つ紹介したいと思います。
①花粉
「花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)」
食物には花粉のアレルゲンと類似の構造が含まれています。
そのため花粉症患者が特定の食物を摂取すると、交差反応から口腔粘膜の刺激感などのアレルギー症状を発症します。
交差反応はヒノキ科やイネ科花粉症患者の10~20%にみられると報告されています。
ただしカバノキ科花粉症では頻度が高く、40%の患者に食物アレルギーを合併するようです。
口腔・咽頭科 32 (2) 103-107, 2019.
②ラテックス
「ラテックス・フルーツ症候群」
果物や野菜に含まれるアレルゲンとラテックスアレルゲンは構造が類似しています。
そのためラテックスアレルギー患者は、交差反応から果物や野菜に対するアレルギー症状が生じる場合があります。
交差反応はラテックスアレルギーの患者の30~50%にみられると報告されています。
Biochem Soc Trans. (Pt 6): 935, 2002 PMID: 12440950
③ネコ
「ポーク・キャット症候群」
ネコの血清アルブミンと豚肉のアレルゲンの構造は類似しています。
ネコに感作された後、豚肉摂取時に交差反応によってアレルギー症状を引き起こします。
交差反応はネコアレルギー患者の1~3%にみられると報告されています。
World J Methodol. 5(2): 31, 2015 PMID: 26140270
④マダニ
「α-Gal症候群」
マダニの唾液に含まれているa-Galと獣肉(牛肉、豚肉)のアレルゲンの構造は類似しています。
マダニに繰り返し咬まれることによってa-Galに感作され、獣肉の摂取によってアレルギー症状を引き起こします。
⑤クラゲ
クラゲは毒針を刺す時にPGAという成分を生み出し、クラゲに繰り返し刺されるとPGAに感作されます。
納豆のねばねば成分にもPGAが含まれており、納豆摂取時にアレルギー症状を引き起こします。
まとめ
食物アレルギーでは食物だけでなく、①花粉、②ラテックス、③ネコ、④マダニ、⑤クラゲにも注意を要します。
これらの原因についても聴取する必要があるでしょう。