この度、メジカルビュー社様より新刊が出版されました。
この本は様々な書籍、教科書から影響を受けて制作されています。
このブログではこれらの本を紹介しながら、私の著書の内容を解説したいと思います。
今回は「膠原病診療ノート」です。
膠原病診療ノート
研修医のときに購入して大変有用だった書籍です。
膠原病は教科書通りの解説だけでは説明のつかない病態も多く、教科書やマニュアル本が役に立ちにくいと感じていました。
そんなときに勧められて購入したのが「膠原病診療ノート」でした。
この本が他書と違う点は、豊富な経験とエビデンスにもとづいて叙述的に書かれていることです。
実際に何をすればよいのかが、かなり具体的に、その理由とともに明記されています。
ステロイドの薬理作用が最も安定して得られるルートは経口投与といわれる。したがって投与法は可能な限り経口とする。
多くの文献で、癌が診断されたのはDM診断の前後1~2年に集中している。臨床実地上、DM診断時に検索して癌がない例には、その後の癌発生を監視し続ける根拠はない。
CK値が明確に低下しはじめれば、正常化を待たずPSLは2週間ごとに10%減らしてよい。これは有用な経験則である
さらに通常の教科書には記載されていないような、診療の根底にある「思考回路」や「考え方」も丁寧に解説されています。
減量法を論じる前に、SLEは再発させたら危険だ、ということを知っておく必要がある。
強皮症と皮膚筋炎は初期の段階で予後を予想しやすいのだが、SLEは先が読めないという違いがある。
そのため研修医の私にも診療の全体像をイメージすることができました。
皮膚科診療の思考回路や考え方
現在は膠原病分野の良質な入門書がたくさんあるようですが、当時はこのような叙述的な本は少なく、内科ローテート中は繰り返し読んでいました。
そしてその内容は今でも自分の診療のベースとなっています。
その後、皮膚科医になり、同じような皮膚科の教科書を探しましたが、「思考回路」や「考え方」まで解説した叙述的な本はほとんどありませんでした。
それなら自分で書くしかない。
マニュアル本でみられる言葉の羅列ではなく、自身の経験も交え病気の全体像をイメージできる本。
そんな書籍を目指し本書は誕生しました。
是非手に取っていただき、感想やご意見をいただけましたら嬉しいです。
つづく