現在、医学雑誌medicinaで皮膚科治療薬の連載を行っています。
Vol.62 No.1~5で抗真菌薬編が終了したので、その簡単なまとめを記載しておきます。
作用機序と有効な皮膚疾患
・抗真菌薬は真菌の細胞膜などに作用し、その構造・機能を障害する。
・皮膚の真菌感染症に対して使用する。
投与法の選択
・抗真菌薬には外用薬、経口薬、爪用外用薬の3種類がある。
・外用薬は表皮の一番外側にある角層に貯留して抗菌作用を発揮する。真菌が寄生するのは角層なので、外用薬で十分に治療ができる。
・ただし毛髪や爪の病変では、皮膚の表面に薬を塗布しても病変部まで届かないため、経口薬の適応となる。
・また外用薬で治らない難治例や、外用薬を塗るのが難しい広範囲の病変には経口薬を使用する。
・爪病変には爪を透過する爪用外用薬を使用することもできるが、治癒までには1年程度かかる。
外用薬の選びかた・使いかた
1)選びかた
・外用薬はアゾール系と非アゾール系に分類される。
・白癬菌に対してはアゾール系、非アゾール系のどちらも有効。
・カンジダに対してはアゾール系のエビデンスが豊富。
・剤形は伸びがよく塗りやすいクリームが主流。抗真菌薬は足に使用することが多いためベタつく軟膏は好まれない。
・ただし、びらんや傷がある病変には刺激が少ない軟膏が望ましい。
2)使いかた
・足の真菌感染症は一見治ったようにみえても菌が残っており、再発が多い。
・そのため症状が改善した後も最低1カ月間は外用を続ける。足病変の外用期間の目安は2~3カ月(足底全体が硬く肥厚した角質増殖型では6ヶ月)とされている。
・また足病変は自覚症状のない部位にも菌がいるので、足全体に十分な量を使用する必要がある。
・具体的には10gチューブを3 本を処方し、それを「1 カ月で使い切ってください」という指示がわかりやすい。
経口薬の選びかた・使いかた
1)選びかた
①爪白癬
・爪白癬に適用がある経口抗真菌薬はホスラブコナゾール、イトラコナゾール、テルビナフィンの3種類。
・イトラコナゾールよりテルビナフィン、ホスラブコナゾールのほうが爪白癬に適している。
・ホスラブコナゾールの治療期間はテルビナフィンより短く、アドヒアランスの面で優る。
・ただしホスラブコナゾールは薬価が高い。
②爪カンジダ症
・爪カンジダ症に適用があるのはイトラコナゾールとテルビナフィン。
・イトラコナゾールが第一選択。
③爪以外の病変
・爪以外の病変にはイトラコナゾールとテルビナフィンが使用できる。
・白癬に対してはどちらを選んでも臨床効果の差はなさそう。
・カンジダに対してはイトラコナゾールを使用する。
2)使いかた
・いずれの薬剤も肝毒性があり、投与前と投与中に血液検査を行い肝機能をモニタリングする必要がある。
・内服期間終了時点では病変が残存しているが、その後も爪内に沈着した薬剤が治療効果を発揮する。治療終了後に症状が改善していくことを患者に伝えておくとよい。