帯状疱疹の既往がある患者に帯状疱疹ワクチンは必要なのでしょうか。
論文を調べてみました。
再発の頻度
まず帯状疱疹の再発はどれくらいあるのでしょうか。
帯状疱疹に関するシステマティックレビューを見てみましょう。
BMJ Open.4(6): e004833, 2014、 PMID: 24916088
9つの研究をまとめた結果では、再発は帯状疱疹患者の1~6%にみられるようです。
The risk of recurrence of HZ ranged from 1% to 6%, with long-term follow-up studies showing higher risk (5-6%).
頻度は少ないですがゼロではありません。
そのためCDCは、帯状疱疹の既往がある患者にもワクチンを推奨しています(CDCは遺伝子組換えワクチン推し)。
Herpes zoster can recur. Adults with a history of herpes zoster should receive the recombinant zoster vaccine.
(MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 67(3): 103, 2018、PMID: 29370152)
(生ワクチンと遺伝子組換えワクチンについては以下の記事参照)
再発までの期間
それでは再発はどれくらいの時期に起こるのでしょうか。
再発性帯状疱疹患者1125人のデータがまとめられた論文を見てみましょう。
Open Forum Infect Dis. 4(1): ofx007, 2017、PMID: 28480280
以下のように再発までの期間の平均13.7年です。
またピークは3~11年後で、約半数の患者がこの間に再発しています。
再発までの期間
・平均:13.7年(2ヶ月~73年)
・ピーク:3~11年
ちなみに1年以内の再発したのは9人(0.8%)で、帯状疱疹発症直後はウイルスに対する免疫が高まっていて再発は少ないようです。
Recurrence within 1 year was observed in 9 patients.
接種のタイミング
次に接種のタイミングはいつごろがよいのでしょうか。
遺伝子組換えワクチンの接種に関する海外のガイドラインを見てみましょう。
Expert Rev Vaccines. 20(9):1065, 2021、PMID: 34311643
【帯状疱疹既往者に対する遺伝子組換えワクチンの接種時期】
・アメリカ:急性期症状が軽快してから
・オーストラリア:急性期症状軽快から最低2か月あけて
・カナダ:最低1年あけて
このように国によって接種のタイミングはバラバラで、治癒後すぐに接種というものから、1年あけるというものまで幅があるようです。
そのため現時点では、接種のタイミングを明確に決めるのは難しそうです。
帯状疱疹発症から1年以内は再発が少ないことを考えると、もしかすると急ぐ必要はないかもしれません。
しかし再発が増える3年目までには接種したほうがよいのではないでしょうか。