現在、医学雑誌medicinaで皮膚科治療薬の連載を行っています。
Vol.61 No.1~5でステロイド外用薬編が終了したので、その簡単なまとめを記載しておきます。
作用機序と有効な皮膚疾患
- ステロイド外用薬は、表皮内の炎症細胞や表皮細胞の活性を抑制して抗炎症効果を発揮する。
- そのため表皮の炎症(湿疹)に対して最適な薬剤である。
- 真皮以下の炎症については、真皮上層くらいまでは効果はあるが、下層~皮下組織へはほとんど届かないので効果は期待できない。
薬剤の選びかた
①強さ
- ステロイド外用薬は5つのランク(ストロンゲスト(I群)、ベリーストロング(II群)、ストロング(III群)、ミディアム(IV群)、ウィーク(V群))に分類されている。
- 普段使用するのはベリーストロング~ミディアムランク。
- 不十分な強さのものをダラダラ使うより、さっさと改善させたほうがステロイドを早く中止できるため、筆者は初診時はベリーストロングランクを選択することが多い
- ただし顔面、陰部などの薬剤の吸収が良い場所や小児に使用する際はランクを下げる。
②剤形
- ステロイド外用薬には主に軟膏、クリーム、ローションの3つの剤形が存在する。
- 皮膚刺激が少ない軟膏を選択するのが基本。
- クリームは伸びがよく塗りやすいのが特徴だが、軟膏と比べて刺激性があるのが欠点。
- ローションも刺激性があるが、頭部には軟膏やクリームが塗りにくいためローションが好まれる。
薬剤の使いかた
①副作用と使用期間
- ステロイド外用剤には吸収されて全身に現れる「全身性副作用」と、塗った部位の皮膚に現れる「局所副作用」がある。
- 日常診療における使用方法では全身的副作用は生じない。
- 局所副作用は4週以降に生じるため使用は3週以内に留める。ただし薬剤の吸収率良い顔面や陰部では2週間以内が望ましい。
②塗る量
- 示指の先端から第一関節までチューブから押し出した量(約0.5g)が、成人の手のひらで2枚分(成人の体表面積でおよそ2%)に対する適量。
③塗る回数
- 急性期は1日2回外用する。
- 3週間以降の治療効果については1日1回と2回に有意な差はない。