「皮膚科の豆知識」は皮膚科専門医が、日々感じた小さな疑問を解決する論文を紹介するブログです。
皮膚疾患は種類が多く大規模スタディーが行われていないため、明確なエビデンスがある検査や治療は少ないようです。
そのため皮膚科診療は経験に頼りがちになります。
そんな中で、なるべく具体的な数字に基づいた診療を行いたいと思ったことが、このブログを開設するきっかけになりました。
宜しくお願いします。
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皮膚疾患は種類が多く大規模スタディーが行われていないため、明確なエビデンスがある検査や治療は少ないようです。
そのため皮膚科診療は経験に頼りがちになります。
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前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。
第1回で紅斑のみかたの原則を解説しました。
(第1回はこちら>>医師国家試験皮膚科領域①)
・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹)
・表面がツルツル:真皮の病変(薬疹)
しかし原則には例外があります。
今回は膠原病の皮疹について取りあげてみます。
膠原病の皮疹も基本的に表面がツルツルの紅斑です。
まずSLE。
皮膚筋炎。
成人スティル病。
川崎病。
さらにベーチェット病の結節性紅斑も表面がツルツルの紅斑です。
このように内因性の皮疹は、基本的に見た目はそっくりで見分けがつきにくいのです。
そのため見た目以外のポイント(病歴や検査など)から鑑別していくしかありません。
ただし皮膚筋炎のゴットロン徴候は、表面がザラザラしているので注意してください。
この理由は、皮疹の形成に外因性の要素があるためだと思われます。
ゴットロン徴候は手指や肘、膝などの摩擦が多い場所に出現します。
つまり摩擦が関係しているため、表皮の変化を伴うのです。
今回は膠原病の皮疹について解説しました。
次回は表面がザラザラの紅斑について取りあげる予定です。
前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。
第1回で紅斑のみかたの原則を解説しました。
(まだ見ていない方は第1回から御覧ください>>医師国家試験皮膚科領域①)
・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹)
・表面がツルツル:真皮の病変(薬疹)
しかし原則には例外があります。
今回は薬疹以外の表面がツルツルの病変について取りあげてみます。
紅斑の表面がツルツルしている場合、病変は真皮に存在しています。
これは原因物質が体の中からやってきた内因性の皮疹であることを表しています。
代表的な原因は薬剤ですが、それ以外にはどんなものが考えられるでしょうか。
血流に乗って原因物質がやってくるものとして以下のものが挙げられます。
蕁麻疹は食物などによる内因性の皮疹です。
また麻疹などのウイルスも感染後、血流に乗って皮膚に到達します。
そして膠原病では自己抗体などによる内因性の機序で皮疹を形成します。
表面がツルツルの紅斑の原因
・薬疹
・蕁麻疹
・ウイルス感染症
・膠原病
具体的に見ていきましょう。
蕁麻疹の皮疹も表面がツルツルです。
蕁麻疹の皮疹は浮腫を伴う紅斑で「膨疹」と呼ばれます。
薬疹より隆起が強いのが特徴です。
ただし臨床現場では見分けがつきにくいことも多いです。
見分けるポイントは皮疹の持続時間です。
蕁麻疹は数時間で消えますが、薬疹などは1日以上持続します。
原因物質が薬剤であってもウイルスであっても、皮膚では同じような免疫反応が起こります。
そのため全身性のウイルス感染症でも、表面がツルツルの紅斑を生じるのです。
以下は麻疹の写真です。
以下は伝染性単核球症の写真ですが、見分けはつきません。
このように皮疹から原因ウイルス(麻疹、風疹、伝染性単核球症、突発性発疹など)を特定することはほぼ不可能です。
さらに薬疹とウイルス感染症を見分けることも困難で、いつも苦労させられています。
(ただしヘルペスと手足口病は表皮に感染するので見た目が違います。これらについては別の記事で解説します。)
今回は蕁麻疹とウイルス感染症について解説しました。
次回は膠原病の皮疹を取りあげる予定です。
つづく
前回に引き続き、医師国家試験に出題された皮膚疾患の写真から、皮膚科診断について説明していきます。
前回、紅斑のみかたの原則を解説しました。
・表面がザラザラ:表皮の病変(湿疹)
・表面がツルツル:真皮の病変(薬疹)
しかし原則には例外があります。
今回は例外の中から、表面がツルツルではない薬疹について取り上げてみます。
重症薬疹のTENは国家試験でもよく出題されているようです。
TENの写真を見てみましょう。
薬疹なのに表面がツルツルではありません。
これはなぜなのでしょうか。
実はTENの皮疹も真皮から始まるので、最初は表面がツルツルしています。
ところが炎症が強いために表皮まで病変が拡大し、表皮が壊死します。
すると水疱を形成し、びらんになってしまうのです。
以下の薬疹の写真は、一見表面がツルツルの紅斑です。
しかしよく見ると、一部に水疱を形成しているのがわかります。
つまりTENに進行しつつあるということです。
水疱、びらんが体表面積の30%を超えるとTENの診断となります。
薬疹の進行のしかたは以下の通りです。
表面がツルツルの紅斑(通常薬疹)→口腔粘膜疹(スティーブンス・ジョンソン症候群)→全身のびらん(TEN)
このように本来ツルツルのはずの紅斑が、ツルツルではなくなったときには注意が必要なのです。
次回は薬疹以外の表面がツルツルの病変について解説します。
つづく