皮膚科の豆知識ブログ

皮膚科専門医のブログです。日々の小さな疑問を解決する論文を紹介します。

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「皮膚科の豆知識ブログ」は皮膚科専門医が、日々の小さな疑問を解決する論文を紹介するブログです。

皮膚科診療は経験に頼りがちです。その理由は皮膚疾患の種類が多く、ほとんどの疾患で大規模スタディーが行われていないからです。

そんな中で、なるべく具体的な数字を取り上げていきたいと思います。

 

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もしご意見、お問い合わせがありましたらこちらからお願いします。

 

染毛剤の接触皮膚炎が起きるまでの期間

染毛剤の接触皮膚炎は比較的遭遇することが多い疾患です。

「今までは大丈夫だった」と言われることが多い印象がありますが、感作までにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。

論文を紹介します。

日皮会誌:106 (11),1397, 1996

 

パラフェニレンジアミンのパッチテスト陽性患者39人の調査です。

ヘアダイ使用開始後、症状発現までの期間がまとめられています。

<使用開始から症状発現までの期間>

・~半年:4%
・半年~1年:13%
・1年~5年:25%
・5年~:58%

 

このように半数以上が症状出現までに5年以上かかっており、感作までに時間がかかると考えておいた方がよさそうです。

 

湿布の光接触皮膚炎はいつまで続く?

NSAIDsの一種であるケトプロフェンには光線過敏の副作用があります。

そのためケトプロフェンが含有された湿布(モーラステープ)は光接触皮膚炎を引き起こすことがあります。

 

さらに薬の成分は湿布をはがした後でも長く皮膚に残ります。

光接触皮膚炎を起こした患者は、一定期間紫外線を避ける必要があるのです。

 

それではどれくらいの期間紫外線を避ければよいのでしょうか。

論文を紹介します。

Contact Dermatitis. 58(3): 159, 2008 PMID: 18279154

 

ケトプロフェンの光接触皮膚炎の患者40人へのインタビュー調査です。症状が消退するまでの期間がまとめられています。

光線過敏消失までの期間

・2か月以内:12人(30%)
・2ヶ月~1年:15人(37%)
・1年以上:13人(33%)

 

このように7割の患者が症状消失までに2ヶ月以上かかっています。

できれば1年程度の遮光をするのが望ましいのかもしれません。

 

皮膚乾燥から湿疹になるのはなぜ?

皮膚乾燥は湿疹の原因になります。

それではどうして皮膚乾燥から湿疹が起こるのでしょうか。

ドライスキンによって湿疹が生じるメカニズムは以下の通りです。

 

①皮膚の乾燥によってかゆみ過敏が生じる

(ケラチノサイトの活性化や表皮内への神経線維の延長によって瘙痒閾値が低下)

 

②日常の小さな刺激で皮膚のかゆみが生じる

 

③皮膚を掻きむしることで皮膚のバリアが障害される

 

④皮膚に抗原が侵入しやすくなり湿疹が生じる

 

⑤湿疹の炎症によってかゆみが増し、掻きむしることで皮膚病変が増悪するという悪循環となる

 

つまり皮脂欠乏性湿疹の原因はドライスキンによるかゆみ過敏ということです。

保湿剤使用によってドライスキンによるかゆみが軽減するという報告があります。

アレルギー・免疫 12(4): 684, 2005 NAID: 40006676831

 

皮脂欠乏性湿疹では、かゆみの軽減目的でも保湿剤が有用です。

 

歳を取ると皮膚が乾燥するのはなぜ?

歳を取ると皮膚が乾燥しやすくなります。

それはなぜなのでしょうか。

 

皮膚(角層)の水分は皮脂や汗によって保たれています。

しかし加齢に伴って皮脂腺や汗腺の機能が低下。

それによって皮脂や汗の分泌量が低下するため、皮膚が乾燥しやすくなるのです。

 

汗腺の機能低下は全身に同時に起こるわけではなく、低下しやすい場所があるようです。

発汗機能の低下は下腿→背部→胸部→上肢という順番で起こります。

皮脂欠乏性湿疹は下腿や腰部に起こりやすいことが、この結果を裏付けています。

J Physiol Anthropol Appl Human Sci. 23(6): 289, 2004 PMID: 15599077

 

 

このような老化に伴う発汗機能低下は、運動によって抑制できる可能性があるようです。

若年成人(Y)、運動習慣がある高齢者(HO)、一般高齢者(NO)の発汗量を調べた研究があります。

Int J Biometeorol. 42(4): 210, 1999 PMID: 10232057

 

運動習慣のある高齢者は若年成人と同等の発汗量が見られています。

運動にはドライスキンを予防する効果も期待できるかもしれません。