現在使用可能な帯状疱疹ワクチンは2種類あります。
- 生ワクチン
- 遺伝子組換えワクチン
これらはどう違うのでしょうか。論文を調べてみました。
予防効果
CDCのレコメンデーションにそれぞれの予防効果が記載されています。
MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 67(3): 103, 2018、PMID: 29370152
以下のように遺伝子組み換えワクチンのほうが予防効果が高いようです。
生ワクチンの予防効果
・60代:64%
・70代以上:38%
遺伝子組換えワクチンの予防効果
・60代:97%
・70代以上:91%
特にに注目すべき点は、生ワクチンは高齢になると効果が下がってしまうことです。
一方、遺伝子組換えワクチンは高齢者でも効果が出ています。
したがって高齢者では遺伝子組み換えワクチンのほうが望ましいと言えそうです。
効果の持続期間
次に効果の持続について見てみましょう。
まず生ワクチン接種者を10年間追跡調査した論文です。
BMJ.383: e076321, 2023、PMID: 37940142
以下のように生ワクチンは5年で効果が半分、10年で1/3になってしまいます。
【予防効果】
1年目:67.2%
3年目:42.0%
5年目:37.0%
10年目:19.1%
それでは遺伝子組換えワクチン接種者を10年間追跡した結果はどうでしょうか。
Open Forum Infect Dis. 9(10): ofac485, 2022、PMID: 36299530
こちらも効果は下がるようですが、10年後もある程度持続しています。
【予防効果】
1年目:97.7%
3年目:92.4%
6年目:88.5%
10年目:73.2%
以上のように遺伝子組換えワクチンのほうが効果が高く、持続期間も長くなっています。
そのためCDCは生ワクチンよりも遺伝子組換えワクチンを推奨しています。
RZV is preferred over ZVL for the prevention of herpes zoster and related complications.
MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 67(3): 103, 2018
副作用
最後に副反応について調べてみます。
まず生ワクチンはどうでしょうか。
ワクチン接種者19,270名の調査を見てみましょう。
N Engl J Med. 352(22): 2271, 2005、PMID: 15930418
以下のように副反応は少ないようです。
注射部位反応:48.3%
全身性副作用:6.3%(発熱:0.8%)
遺伝子組換えワクチンではどうでしょうか。
ワクチン接種者7698名の調査を見てみましょう。
N Engl J Med. 372(22): 2087, 2015、PMID: 25916341
以下のように生ワクチンより副反応の頻度が高くなっています。
注射部位反応:81.5%
全身性副作用:66.1%(発熱21.5%)
遺伝子組換えワクチンは効果は高いのですが、副反応については十分説明しておく必要がありそうです。
次回の記事では帯状疱疹の既往者にワクチンが必要なのかを考えます。