皮膚科の豆知識ブログ

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その他の感染症

皮膚の抗酸菌培養の注意点

非結核性抗酸菌症と言えば呼吸器感染症というイメージですが、皮膚感染症にも出会うことがあります。 呼吸器と皮膚ではどのような違いがあるのでしょうか。 文献を調べてみました。 原因菌 呼吸器感染症の原因菌は何が多いのでしょうか。 Emerg Infect Dis. …

皮膚真菌症の原因菌は何が多い?

内臓や血液の真菌感染症(深在性真菌症)はカンジダやアスペルギルスが多いと言われています。 それでは皮膚真菌症の原因菌は何が多いのでしょうか。 論文を見てみましょう。 Med Mycol J. 60(3): 75, 2019 PMID: 31474694 皮膚科を受診した皮膚真菌症患者67…

白癬は視診で診断するべからず

皮膚真菌症は見た目だけで診断できるのでしょうか。 それを調べた報告があります。 Fam Pract. 16(6): 611, 1999 PMID: 10625138 皮膚科クリニックを受診した紅斑を有する患者148人に対して臨床診断を行った後に、真菌培養が行われました。 視診による皮膚真…

自覚症状がない足白癬に注意しよう

皮膚真菌症診療ガイドライン2019によると、人口の約20%程度(2500万人)が足白癬に罹患しているそうです。 しかし足白癬はある程度まで菌が増殖しないと、痒みなどの自覚症状が出てきません。 それでは足白癬と気がつかずに放置している患者はどれくらいいる…

足白癬の予防法

白癬菌はどこにいて、どうやって感染するかを聞かれることも多いと思います。 皮膚に付着した白癬菌は、一定の湿度(85%以上)があれば24時間かけて皮膚内に侵入し、感染が成立します。 水虫が足の指の間にできやすいのは、湿度が高いことが理由です。 それ…

足白癬の治療はいつまで続けるのか?

白癬にはどれくらいの治療期間が必要なのでしょうか。 ゼフナートクリームの臨床試験の論文を紹介します。 体部白癬患者61人と足白癬患者137人がゼフナートクリーム外用(1日1回)で治療されました。 西日本皮膚科 55(4):759, 1993 NAID: 130004830924 【症…

足白癬の内服抗真菌薬はどれを選ぶか?

足白癬に対して保険適応がある内服抗真菌薬には、テルビナフィン(ラミシール)とイトラコナゾール(イトリゾール)の2種類があります。 テルビナフィン(ラミシール) イトラコナゾール(イトリゾール) どちらを選択すればよいのでしょうか。 まず両者の効…

小児の内服抗真菌薬の投与量

小児の皮膚真菌症に対して内服抗真菌薬が必要になることがあります。 それは頭部白癬の治療のときです。 ところが投与量は日本のガイドラインには記載がなく、論文を参考に決める必要があります。 ある論文(臨床皮膚科. 64(13): 1060, 2010)ではテルビナフ…

皮膚真菌症に内服抗真菌薬を使うシチュエーションは?

抗真菌薬内服が必要な白癬は爪白癬が代表的です。 真菌は爪の下にいますが、外用薬が爪を通過できないからです。 しかし内服薬は、その他の白癬にも適応があります。 ガイドラインから内服薬の適応をみてみましょう。 皮膚真菌症診療ガイドライン 2019 【内…

爪白癬は見た目で診断するべからず

爪白癬では爪の変形が起こります。 ただし爪の変形が必ずしも爪白癬とは限らないことに注意が必要です。 それでは爪白癬の割合はどれくらいなのでしょうか。 皮膚科クリニック受診者の爪を観察した報告を見てみましょう。 Int J Dermatol. 36(10): 783, 1997…

爪白癬の治療は内服か外用か?

これまで爪白癬には外用薬が効かないので、内服薬を使用する必要がありました。 ところが最近爪白癬に効果がある外用薬が発売され、内服薬を使用しないケースが増えています。 それでは外用薬の効果はいったいどれくらいなのでしょうか。 臨床試験の結果を見…

梅毒の検査が変わった

最近梅毒の検査法が変わっています(用手法→自動化法)。 それに伴っていくつかの変化があり、教科書の記載内容が古くなっています。 そのため知識をアップデートしておく必要があります。 まず治療効果判定が「RPR 1/4以下」から「RPR半分以下」に変更され…

疥癬はどれくらい見逃してしまうのか?

私たち皮膚科医を最も怯えさせる疾患が疥癬です。 一見して湿疹や痒疹と見分けがつきづらい。 よくよく手や陰部を観察すれば、疥癬トンネルや疥癬結節が見つかりますが、注意していないと見逃してしまいます。 疥癬は忘れた頃にやってくる。 常に頭の片隅に…

マダニに咬まれたらどうするか?

マダニ刺症の対応法は人によって微妙に異なっています。 そこで虫の大家・夏秋優先生の「マダニ刺症への対応提言」をまとめてみました。 Visual dermatology 17(11): 1064, 2018 皮膚に吸着したマダニは除去する必要があります。 それでは除去はいつすればよ…

スミスリン耐性シラミの治療法

最近ピレスロイド(スミスリン)耐性のシラミが増加しているそうです。 スミスリンシャンプーが効かないときどうすればいいのか、海外のガイドラインを調べてみました。 まずカナダ小児科学会で推奨されているのは2つの薬剤です。 Paediatr Child Health. 23…

BCG接種後の副反応はどうする?

ときどきBCGの副反応に遭遇することがあります。 今回はBCG副反応についてまとめてみました。 発症時期 まず発症時期に関する論文を見てみましょう。 1997年~2008年に皮膚科から報告されたBCG副反応のまとめです。 日本皮膚科学会雑誌 121 (1), 39-45, 2011…